サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「負けていい試合なんて一つもない」
三浦淳宏がザックジャパンに直言!
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph byNanae Suzuki
posted2013/10/30 10:31
11月4日にニッパツ三ツ沢球技場で引退試合を行う三浦淳宏。
現実の厳しさを突き付けられたコンフェデレーションズカップ以降、日本代表の実力に対する疑念は強まるばかりである。
8月のウルグアイ戦ではコンフェデ杯で露呈した守備の脆弱さを再認識させられ、勝利したとはいえ9月に対戦したガーナは事実上の2軍、グアテマラは明らかな格下。10月にはほぼ“同格”と見られたセルビアとベラルーシを相手に完敗を喫し、弾みを付けて格上のオランダとベルギーに臨むというプランはあっさりと崩れた。
指揮官や選手が落ち着き払って「不安はない」「ブレてはいけない」「チャレンジの途中」という類の言葉を口にするたびに、このチームに抱く強い期待感は「本当に大丈夫なのか?」という不安に変わる。周囲に蔓延するネガティブな空気は、おそらくザックジャパン発足以来最も重いものだ。
それでも指揮官や選手に対するネガティブキャンペーンがある意味“中途半端”にしか盛り上がらない理由は、“史上最強”と称される日本代表への期待感にあるのだろう。
では、過度な期待と過度な不安を差し引いた時に、導き出される現在地はどこにあるのか。かつて日本代表の一員として活躍し、'06年ドイツW杯アジア予選ではチームの結束を強める上で重要な役割を担った男、現在は解説者として国内外のサッカーに精通する三浦淳寛(引退後に淳宏から改名)に“本音”を聞いた。
「内容も良くないし、結果もついてこない」理由。
世論の不安を煽る結果となったセルビアとベラルーシについて、三浦はこう振り返る。
「日本はW杯に出場して、優勝を狙うと公言している。そのチームが、アウェーとはいえW杯に出場できないチームを相手に2連敗、しかも得点ゼロでは話にならないですよね。『このままで大丈夫なの?』という疑問を持たれても仕方ないと思います。
2試合を通じて、日本の良さはほとんど出せませんでした。監督や選手が言うように“チャレンジ”しているのは分かる。でも内容も良くないし、結果もついてこない。やっぱり、キレイなサッカーをやろうとし過ぎている印象が強いですね。今の日本代表を良い方向に向かわせるためにやるべきことは、そうじゃないと僕は思います」
ベラルーシ戦後、本田は「今までやってきたことが出せていない」ことについて、あえて“出そうとしていない”ことを強調した。ターゲットはあくまでW杯本番。今は8カ月後に完成形を構築するための準備段階で、「新たなトライ」に没頭していると現状を説明する。