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W杯まで8カ月の選手ミーティング。
日本代表の“攻撃の形”はどうなる? 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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photograph byItaru Chiba

posted2013/10/31 10:30

W杯まで8カ月の選手ミーティング。日本代表の“攻撃の形”はどうなる?<Number Web> photograph by Itaru Chiba

0-1で敗れたベラルーシ戦後、うなだれながらサポーターたちに挨拶をする日本代表。GKの川島永嗣は「応援してくれた人たちに申し訳ない気持ちでいっぱい」と語った。

日本がフランス戦で見せたカウンターを思い出せ。

 そして2点目と3点目は、自陣からのカウンターだった。

 両得点ともに、ドルトムントが自陣ゴール前でマイボールにすると、ムヒタリアンが躊躇なくドリブルを仕掛けて前に進み、1度もバックパスすることなく相手ゴール前に迫った。

 日本も似た攻撃をしたことがある。2012年10月のフランス戦の終了間際だ。相手CKのこぼれ球を今野泰幸が拾ってドリブルで駆け上がり、長友佑都が併走してパスをつなぎ、最後は香川がゴールを決めた。

 日本にはレバンドフスキのような前線でボールをキープできる1トップがいないのは埋めようのない差だが(ドルトムントには攻めあぐねたらレバンドフスキに長いパスを当てるという選択肢がある)、それ以外の部分では、技術、規律、運動量を併せ持つという点で似た長所がある。

 かつてACミランに黄金期をもたらしたアリゴ・サッキに、「日本は世界のどのチームから学べるか?」と訊くと、このイタリアの名将はこう答えた。

「この3年間の中で、私を最も魅了したのはドルトムントだ。クロップ監督は無名の選手たちを率いて、魅力的なサッカーを見せ続けている。彼の指導によって、選手たちが超一流へと成長している。日本代表はドイツ勢から学ぶべき点が非常に多い。彼らは一歩どころか数歩前を行っている。大切なことは、リスクと失敗を決して恐れないことだ」

 ドルトムントは相手が守備を固めれば、中盤でパスをまわして隙をうかがい、機を見てダイレクトパスを多用した連携で崩しにかかる。一方、相手からボールを奪えば、ノンストップのカウンターを見せる。彼らはもはやポゼッションorカウンターという概念ではくくれないサッカーをしているのだ。日本も同じように、2つの攻撃を両立できる人材がいる。

ポゼッションorカウンターの二者択一を離れて。

 サッカーは攻守が一体であり、その攻撃を実現させるには、奪われた瞬間に全員が連動してプレスをかける集中力と組織力が求められるが、日本代表の選手たちならばそういう守備も不可能ではない。

 何もこれは日本代表が、ドルトムントのコピーになれと言っているのではない。ポゼッションorカウンターという二者択一の考えから離れ、うまくいっているチームの戦術を眺めて、頭を柔らかくするきっかけにしようということだ。

 今の日本代表はそれぞれが頑張ろうとするあまりに、各自のなわばりが壊れ、いい分業ができなくなっている。チームにおける足し算、掛け算が成り立っていない。持ち場を整理するためには、やはりチームとしてのしっかりとした設計図が必要である。イメージを共有するためのケーススタディを、議論に引っ張り出すのも悪くないはずだ。

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