スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER

スピードとスマイル。
~6階級制覇、パッキャオの驚異~ 

text by

芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2010/11/22 10:30

スピードとスマイル。~6階級制覇、パッキャオの驚異~<Number Web> photograph by Getty Images

圧倒的大差判定で6階級制覇を達成したパッキャオ。最終ラウンドは攻撃を緩める余裕の勝利

19キロの増量を成し遂げ、史上2人目の6階級制覇。

 パッキャオは圧勝した。

 オスカー・デラホーヤについで史上2人目の6階級制覇も達成した。

 WBCフライ級にはじまって、IBFスーパーバンタム、WBCスーパーフェザー、WBCライト、WBOウェルター、そして今度のWBCスーパーウェルター級。最初の王座から6階級目の王座まで、19キロも体重を増やしたボクサーはほかにいない。しかもこの間には、リング誌認定の世界フェザー級王座と世界スーパーライト級の王座にも就いている。つまり、実質的には8階級制覇。驚くべき跳躍と、驚くべき成果だ。

 パッキャオは2010年5月、フィリピンの国会議員に当選した。「40歳で大統領になる」という公約も、現実のものとなる可能性が高い。では、この12月に32歳を迎える彼には、あと何試合が残されているのだろうか。

 たぶん3試合か4試合、と私はにらんでいる。そしてそのなかに、世界中が待ち望んでいる対フロイド・メイウェザー戦が含まれる可能性は、いまのところ低くなる一方だ。メイウェザーも33歳。「世紀の対決」が永遠に見られないとしたら残念きわまりないが、パッキャオが勝ち得た「史上最高のサウスポー」の称号の価値が下がるわけではない。私の見る限り、彼のスピードとスマイルは、すでにマーヴィン・ハグラーやパーネル・ウィテカーといった強豪さえもしのいでいるかに思えるのである。

BACK 1 2
マニー・パッキャオ
アントニオ・マルガリート

ボクシングの前後の記事

ページトップ