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168cmの体、130kmの直球で完封劇。
“小さな巨人”樟南・山下の投球術。
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![氏原英明](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/8/8/-/img_88a633ea7a265401d3fec081755fac346439.jpg)
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byKyodo News
posted2013/08/13 08:02
![168cmの体、130kmの直球で完封劇。“小さな巨人”樟南・山下の投球術。<Number Web> photograph by Kyodo News](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/2/f/700/img_2ff5ae4b5d0bc3fcd871e01a83c3a94e223720.jpg)
9回1死満塁のピンチでも堂々と内角ストレートを投げ続け、見事三ゴロ併殺に打ちとった樟南の先発・山下敦大。
投球が安定しない山下が、急にカーブを多投し始めた。
山下は、この試合の最初から調子が良かったわけではなかった。
「身体が前に突っ込んでいた」という樟南・山之口和也監督の言葉にあるように、序盤は投球フォームにバランスを欠いて、制球が定まっていなかった。
6回表、山下はカーブを多投し始めた。
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捕手・緒方によれば、特にフォーム修正の意図はなかったようだが、この辺りでカーブを投じたことが、結果的にフォームの修正につながったのだろう。7、8回を6人で片づける完ぺきなピッチングを見せた。正しいフォームが、130キロのストレートや決め球のスクリューの切れを導いていた。
かくして、山下は完封勝利を挙げた。次戦の相手は、高橋のいる前橋育英である。
「次もバックを信じて、思い切り投げたいと思います」
山下は、そう意気込んでいるという。
身長が低くても、ストレートが速くなくても――。
小柄な投手が長身のスケールの大きな投手に投げ勝つ。
そんなシーンを、思わず期待してしまう。
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