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90分と1年のエネルギー配分が要点!?
中断期間にJを戦う年間計画を考える。
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph byAFLO
posted2013/06/24 10:30
Jでは2位につけているものの、ACLでは惜しくもグループリーグ敗退。浦和は大型戦力を武器にJとACLの二正面作戦を敢行したが、アジアでは厳しい戦いを強いられた。
浦和と仙台もまずまず無難に前半戦を乗り切った。
浦和と仙台は、広島と柏に比べて特別な策を持たずにアジアを戦った印象だ。チーム力を着実に向上させている今シーズンの浦和は、ACLでもJリーグでも十分に戦えるパフォーマンスを示した。もし柏と同じようなプランを持っていればACLでは決勝トーナメント進出を果たしただろうし、逆に広島と同様ならJリーグで首位に立っていてもおかしくなかった。しかしJリーグでは現時点で2位につけているのだから、タイトルに届く可能性は十分にある。来シーズンのACLにつながる、充実した前半戦を送ったと言っていい。
仙台は初出場のACLにも混乱を招くことなく、うまく立ち回った印象が強い。Jリーグでは10位とおそらく不本意な位置につけているが、よほど我慢強く戦えなければさらに大崩れした可能性はあったはずだ。近年の傾向を見ていると、二足のわらじを履きこなすことはそれだけ難しい。
ACL組の前半戦について、倉敷氏はこう分析していた。
「ACL組が序盤戦で苦しむのは当然のこと。シーズンインから肉体的負荷の強いキャンプを経て、Jリーグの開幕より4、5日も早く本番を迎えるわけですから。ゼロックス杯に出場した広島と柏はさらに厳しい。だからこそ、特にACL組には明確なプランニングが必要だと思うんです。転んでしまう可能性が十分にある前半戦で、ACLを戦いながら転ばないように」
“ACL組以外”は理想的なかたちで前半戦を折り返す。
現在首位の大宮アルディージャを含めて勝ち点10差以内に位置している“ACL組以外”の4チーム、3位の横浜F・マリノス、4位の鹿島アントラーズ、6位のセレッソ大阪は、極めて理想に近い前半戦を送ったと言えるだろう。
首位をキープし続けた大宮の快進撃は予想外のサプライズだったが、結果的に、この4チームは昨シーズンに固めた土台を“今シーズン仕様”にレベルアップさせている印象がある。夏場の連戦を「勝ち、引き分け」のサイクルで乗り切れば、最後まで優勝争いに加わる可能性は十分にありそうだ。
では、地力のあるACL組に彼らを加えた8チームによる優勝予想を展開した場合、勝負の分かれ目となる中盤戦のポイントは何か。倉敷氏はこう分析していた。
「Jリーグには2つの大きな特徴があると思うんです。一つは、世界各国と比較してもかなりのエネルギーを使うリーグであること。もう一つは、少しリンクしますが、とても速いサッカーを展開するということ。私の印象では、Jリーグはこのエネルギーの使い方に課題を抱えている。1シーズンを通したエネルギーの使い方も、あるいは90分間で見るエネルギーの使い方も」