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カタールは本当に不正を行ったのか?
南米に飛び火した'22年W杯招致疑惑。 

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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photograph byREUTERS/AFLO

posted2013/03/20 08:03

カタールは本当に不正を行ったのか?南米に飛び火した'22年W杯招致疑惑。<Number Web> photograph by REUTERS/AFLO

2012年12月、南米サッカー連盟の会合で立ち話をするグロンドーナ・アルゼンチンサッカー協会会長(左)とレオス・パラグアイサッカー協会会長。二人とも、2022年W杯選挙でカタールに投票したことをめぐり、数々の“疑惑”が指摘されている。

2022年W杯開催地をめぐる選挙はやり直しになるのか!?

 現在、ガルシアの仕事の中心は、カタールゲートへとシフトしている。チューリッヒのレストランで、2時間半にわたっておこなわれたインタビューの骨子は次の通りである。

(1)ガルシアの役割

 サッカーに携わる人々の行動の吟味。それがFIFAなどの統治機構の定める規則に抵触するか否か。

(2)カタールゲート

 情報収集の時期であり、提供の呼びかけをおこなっている。FIFAは各連盟・協会の集合体であり、企業での調査のように文書やメールを強制的に集められない。また当事者も、法的には情報を開示する義務はないが、質問に対して答える倫理的な義務はある。

 調査は長いスパンでのプロセスになる。どれだけの情報が集まるか。それだけの人が協力するかが鍵になる。誰にとっても事態をはっきりさせるいい機会。対象者には直接会って話を聞く。

 5月31日のFIFA総会(モーリシャス)で総括的な報告をするのは時期尚早。方向性と焦点をどこに絞るかをまず示したい。

(3)独立性

 FIFAの内部組織ではあるが、完全な独立性が保たれる。行政府の合意のもとに、当事者である企業が費用を負担して、独立した調査委員会を設置するのはアメリカではよくあること。FIFAといえども自分たちの調査には何の干渉もできない。

 また調査委は、ブラッターとの個人的な関わりもいっさいない。コンタクトは秘書を通して行われている。

(4)透明性

 収集した情報はすべて開示する。出し惜しみや後出しはいっさいしない。

(5)22年WC再投票の可能性

 規則を破っているか否かの判定は人間に対してのみ。開催地決定は倫理委員会の判定の範囲外であり、まったく別のプロセスである。つまり、カタールに投票した14人のFIFA理事のうち、誰が規則を破った(不当な利益を得た)かだけが、調査の対象となるわけである。

   ◇

 それでは、もし数多くの違反者が出て、正当な投票者がアメリカに投票した8人と同数もしくは下回ってしまったら、選挙はやり直しになるのだろうか?

 今後、機会があれば、実際にカタールゲートの取材を担当し、原稿を執筆したFF記者にインタビューできればと考えている。

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