セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
前半戦好調から一転、インテル危うし。
若き指揮官の拙いマネジメント術。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byPress Association/AFLO
posted2013/03/21 10:30
ヨーロッパリーグ決勝トーナメント2回戦で姿を消したインテルの若き指揮官ストラマッチョーニ。
インテルが欧州の舞台で派手に散った。
トッテナム(イングランド)とのUEFAヨーロッパリーグ(以下EL)決勝トーナメント2回戦は、2戦合計8ゴールが乱れ飛ぶ激しいカードになった。敵地ホワイトハートレーンで0-3と惨敗したインテルは、本拠地サンシーロでの2ndレグで終始攻めまくり、3点を奪い返して見事に挽回、延長戦に持ち込んだ。FWアデバヨールにアウェーゴールを許したが、諦めずに延長後半に総攻撃をしかけて4点目を取り返した。アウェーゴール差で敗れたものの、最後まで諦めなかったインテルは、栄えある敗者として大会を後にした。
だが、無念の大会敗退に落ち込んでいる暇はない。セリエAでの3位獲得、つまり来季チャンピオンズリーグのプレーオフ出場権獲得は、クラブにとって至上命題だ。
「(トッテナム戦での奮闘が)残り10試合の“短期決戦”への再スタートになると信じたい。われわれの将来がかかっている」
37歳の若き指揮官ストラマッチョーニは、熱を込めて連呼する。ただし、応えるべきチームには問題が山積だ。
昨年11月に王者ユベントスの無敗記録を止め、勝ち点差1にまで迫ったインテルだったが、年明けを境に脆さが目立つようになってきた。
冬の市場で獲得した若手選手たちも即戦力とは言い難く……。
不振の原因はいくつかある。
左膝を痛めて戦線離脱中の長友佑都やアキレス腱故障のサムエルなどDFに負傷者が大量発生。守備陣の層が薄くなり、23節では残留争いをするシエナ相手に3失点、25節フィオレンティーナ戦でも4失点で白星を献上した。
冬の市場で獲得した若手選手たちも即戦力とは言い難い。MFスケロットは未だチームプレーに馴染んでおらず、クロアチア期待の星といわれる18歳のMFコバチッチもようやく中盤底のポジションを見つけたばかり。
得点力不足も深刻だ。29節終了時点で、得点ランク上位10傑に名を連ねるインテルFWは1人もおらず。1月の補強でやってきたのが、ラツィオで出番を失っていた35歳のロッキではいかにも頼りない。
エースFWミリートがELクルージュ(ルーマニア)戦で重傷を負うと、慌てたフロントは、昨季かぎりでウェストハム(イングランド)をリタイヤし、ホラー映画俳優に転身していた元FWカリューを3カ月限定の報酬30万ユーロという破格の契約で釣ってミラノに呼び寄せた。ところが、いざメディカルチェックをしてみると、33歳の彼をトップフォームにもっていくには数カ月かかることが判明。交渉は破談にせざるをえなかった。
だが、現在のインテルが抱える苦境の原因は、何より指揮官ストラマッチョーニの指導者としての経験不足にある。