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女子サッカー・アルガルベ杯が開幕。
新生なでしこにホープは登場するか?
text by
河崎三行Sangyo Kawasaki
photograph byDaiju Kitamura/AFLO SPORT
posted2013/03/06 10:30
今大会ではU-20W杯に出場したヤングなでしこ組から田中美南(写真)や田中陽子など6人が初選出。佐々木監督は今秋までは若手を中心に戦うことを明言している。
強力な戦力を擁するライバル国がなでしこを待ち受ける。
しかもポルトガルで対戦するのは、世界トップクラスの相手なのである。
例えば、グループリーグで日本と同じA組になったドイツ。
今年は7月に女子欧州選手権があるため、アルガルベに出場するヨーロッパの国々はベストメンバーでチームを構成している。中でも現在FIFAランク2位のドイツは、女子ユーロでの優勝を目指して昨年から着々と準備を進めてきた。ビルギト・プリンツ、ケルスティン・ガレフレケスといったベテランが代表引退し、24歳のセリア・オコイノ・ダ・ムバビ、21歳のアレクサンドラ・ポップが攻撃の柱に成長。他の強豪国に先駆けて世代交代を完了したこのチームは、万全の状態で日本を待ち受けている。
あるいはB組の、FIFAランク1位国アメリカ。
ドイツとは対照的に、32歳のアビー・ワンバック、37歳のクリスティ・ランポーンらをサブに追いやる選手がいまだ不在なのは懸念材料だが、それでも徐々に新戦力が台頭している。
2月に行われたスコットランドとの親善試合2連戦では、24歳の初招集FWクリステン・プレスが計3得点の荒稼ぎ。現在スウェーデンリーグでプレーする彼女は、サイドMFもこなせる上、左右両足での強力なミドルシュートという武器も持っている。
また、アメリカ選手には珍しく、大学に進学せず高校卒業後に直接パリ・サンジェルマン入りした18歳のリンジー・ホランも、今回初招集された。
こうした選手をピックアップしたのは、今年からアメリカの指揮官を務めることになったトム・サーマンニ監督である。昨年まで長くオーストラリア女子代表を率いていた彼は、アジアでの戦いを通してなでしこジャパンを知り尽くしている。そんな人物が、世界最強の戦力を手に入れたのである。日本にとっては厄介な話だ。
アメリカを五輪連覇に導いた監督がスウェーデンの監督に。
一方、同じくB組のFIFAランク6位国スウェーデンには、北京、ロンドンの両五輪でアメリカを金メダルに導いたピア・スンドハーゲが、新監督として凱旋している。
もちろん同国も女子ユーロを控え、チームの完成度を急ピッチで上げている段階だ。
個人技頼みで単発だったアタックに、スンドハーゲがどう手を入れたのかが興味深い。