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女子サッカー・アルガルベ杯が開幕。
新生なでしこにホープは登場するか?
text by
河崎三行Sangyo Kawasaki
photograph byDaiju Kitamura/AFLO SPORT
posted2013/03/06 10:30
今大会ではU-20W杯に出場したヤングなでしこ組から田中美南(写真)や田中陽子など6人が初選出。佐々木監督は今秋までは若手を中心に戦うことを明言している。
ポルトガル南岸アルガルベ地方を舞台に行われる女子サッカーの国際大会『アルガルベカップ』が、3月6日に開幕する。
なでしこジャパンは2年前からこの大会に参加し、2011年は3位、'12年は準優勝という成績を残している。3位、2位とくれば、いよいよ優勝を期待したくもなるのだが、それは少々酷な注文だ。
というのも、日本にとって今回のアルガルベカップの位置づけは、過去2年とまったく異なっているのである。
'11年は女子W杯の、'12年はロンドン五輪の開催年だったため、なでしこは数カ月後の本番に向けてベストメンバーを選び、戦術やコンビネーションの熟成を図りつつ勝負にもこだわった。
しかし今年は大きな国際大会が皆無で、'15年のカナダ女子W杯、'16年のリオ五輪まではまだ時間の余裕がある。そこで佐々木則夫監督は、'13年を新戦力の発掘と底上げの年と位置付け、その最初の機会となるアルガルベ杯には思い切った人選で臨むことにしたのだ。
勝敗にこだわらず、次世代のホープを見極める機会に。
具体的には、すでに実力を証明している澤穂希、宮間あや、大野忍といったベテランをリストアップせず、24歳以下のフル代表歴のない、あるいは少ない選手を大量招集したのである。
ここ1、2年はオーバーワーク気味だったベテラン勢に休養を与えて心身ともにリフレッシュさせ、新顔に国際経験を積ませる中で本当に戦える者を見極めていく。そして秋頃に新旧戦力を融合させる、というのが佐々木監督の青写真であるようだ。
というわけで、今年のアルガルベカップでのなでしこについては、チームの勝ち負けや順位より、秋以降にポジションを奪いそうなホープが台頭するか否かが、見どころとなることだろう。
ただし、そうした選手は簡単に現れるものではない。
佐々木監督がじっくり練り上げてきた、攻守に連動するなでしこサッカーに適応するには、少なからぬ時間を必要とするからだ。