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「絶対王者なきJリーグ」の見方とは?
群雄割拠極まる2013年を大胆予測!
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph byDaiju Kitamura/AFLO
posted2013/03/01 10:30
2月23日、ゼロックススーパー杯。1-0で柏レイソルを破った広島。目立った補強を行なわず2013年シーズンに臨む前年王者は、ACLとJリーグという過酷な戦いを乗り切ることができるのか。
タイトル獲得の可能性を秘めた“カテゴリー1”は?
群雄割拠のタイトル争奪戦をあえて展望するなら、今シーズンのJ1におけるパワーバランスは大きく分けて3つのグループに分類されると見ている。
タイトル獲得の可能性を秘めた“カテゴリー1”は、昨シーズンの覇者であるサンフレッチェ広島を筆頭に、ペトロヴィッチ体制で2年目を迎える浦和レッズ、的確な補強で王座奪還に意気込む鹿島アントラーズ、同じく効果的な補強で選手層に厚みを増した柏レイソル、さらに抜群の安定感を誇るベガルタ仙台の5クラブ。中でもACLの負担がないことを根拠として、鹿島への期待は大きい。
この5クラブの命運を左右するポイントとなるのが、開幕から5月末までの3カ月間で区切る“序盤戦”のスタートダッシュだ。
今シーズンのJ1は5月25日と26日に行なわれる第13節終了後、約1カ月もの長い中断期間に突入する(ACL出場チームは第9節が5月29日に行なわれる)。この期間を継続路線の“調整期間”とするか、それとも挽回を図るための“再建期間”とするかが大きな分かれ目の一つ。もちろん後者より前者のほうが、後半戦へと続くタイトルレースに生き残る可能性が高い。
しかし“カテゴリー1”のクラブにとって、スタートダッシュを実現するのは簡単ではない。それを困難にしているのが、ACLの戦いである。
ACLの難しさは肉体的な負担ではなく、“ピーキング”の問題。
ACLに出場する以上、グループリーグ突破は最低限のノルマだ。従ってある程度早い段階でコンディションを上げなければならないが、その途中段階で黒星が先行したり、イメージする戦いができない時間が続くとリズムを崩して失速しやすい。
例えば昨シーズンの柏は、開幕直後にリズムをつかみ損ねて苦しい時間を過ごした。つまりACLの難しさは肉体的な負担ではなく、チームコンディションのピークを比較的早く作らなければならないこと。「ACLの出場経験」がモノを言うのはまさにこの部分だ。
昨季王者の広島と同2位の仙台の強みである確立されたチームスタイルは、崩れにくいという点でポジティブに評価できる。浦和はその途中段階にあるが、森脇良太や興梠慎三、那須大亮や関口訓充ら即戦力を補強し、柏もクレオや谷口博之、鈴木大輔、さらにロンドン五輪韓国代表の右SBキム・チャンスら的確な補強を実現した。
しかしACLの戦いがはらむリスクを考慮すると、ダヴィや野沢拓也、中村充孝らを加え、さらにこのクラブを率いて優勝経験のある指揮官トニーニョ・セレーゾの復帰した鹿島が、有利にタイトルレースを展開できる気がしてならない。仙台と広島にはレギュラークラスの選手に故障者が出ており、それも大きな不安材料と言える。