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「絶対王者なきJリーグ」の見方とは?
群雄割拠極まる2013年を大胆予測!
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph byDaiju Kitamura/AFLO
posted2013/03/01 10:30
2月23日、ゼロックススーパー杯。1-0で柏レイソルを破った広島。目立った補強を行なわず2013年シーズンに臨む前年王者は、ACLとJリーグという過酷な戦いを乗り切ることができるのか。
3月2日の開幕戦を皮切りに、いよいよ21年目に突入するJリーグ。迎える2013シーズンは、「史上最も予想の難しいシーズン」と言っていい。
周知のとおり、特に近年は各クラブの戦力に差がなくなっている。
2011シーズンは柏レイソル、2012シーズンはサンフレッチェ広島がそれぞれクラブ史上初のリーグ王座に君臨したが、シーズン開幕前に両者の戴冠を予想する声は皆無に等しかった。まして昨シーズンのガンバ大阪のJ2降格は、おそらく誰にとっても予想外の結末。AFCチャンピオンズリーグ(以下ACL)出場権を最後まで争ったサガン鳥栖の快進撃もまたしかりである。
そうした状況を鑑みて、「絶対王者なきJリーグ」の全体的なレベル低下を懸念する声もある。
「最も予想の難しいシーズン」は「最も面白いシーズン」でもある!?
確かに、たった一つの絶対王者、あるいは大都市を本拠地とするビッグクラブに中小クラブが立ち向かうという構図のほうが、プロスポーツのリーグとしては全体の強化を図りやすい。明確な目標を持って「打倒!」と意気込むほうが、立場を守ろうとする者、立場を変えようとする者の構図が明確になり、試合毎の緊張感も厳しさも増すだろう。例えば引き分けの数が減少する可能性も高い。
ただ、ピッチ外の問題も含めて過渡期にある“21年目”のJリーグと理解すれば、自分としては「絶対王者なき」も努めて歓迎したい。
規模や伝統、戦力や環境を問わず、どのクラブにもタイトル獲得やアジア進出のチャンスがあり、一方で降格の危機にまでリアリティがある。そんなリーグが面白くないわけがなく、切磋琢磨する環境がリーグ全体の成長を促すというポジティブな効果にも期待できる。
だからこそ、「史上最も予想の難しいシーズン」は「史上最も面白いシーズン」になり得る。