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「あんなダウンしたのに平気な顔で…」井上尚弥を“苦しめた敗者”カルデナスが語る8R死闘の真実「KOされたが楽しかった」

posted2025/05/26 17:01

 
「あんなダウンしたのに平気な顔で…」井上尚弥を“苦しめた敗者”カルデナスが語る8R死闘の真実「KOされたが楽しかった」<Number Web> photograph by Naoki Fukuda

井上尚弥を相手に健闘をみせたラモン・カルデナス。人生を変える一戦で感じたモンスターとの差とは?

text by

杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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photograph by

Naoki Fukuda

 世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)とWBA1位ラモン・カルデナス(アメリカ)の激闘から3週間が経過した。ラスベガスのT-モバイルアリーナで行われた一戦で井上はカルデナスに8回TKO勝ち。2回に衝撃的なダウンを奪われながら、井上はすぐに挽回してデビュー以来の連勝を30(27KO)に伸ばした。一方、モンスターに立ち向かったカルデナスも予想以上の大健闘を見せたことで大きく株を上げる結果となった。29歳の好漢にキャリア最大となった一戦を振り返ってもらった【NumberWebインタビュー全2回の1回目/後編につづく】。

「世界中の誰もが初回でKOされると思っていた」

――少し時間が経った今、井上戦をどう振り返りますか?

ラモン・カルデナス(以下、RC) あの試合の映像を見返して、良い部分もあれば、そうではない部分もあった。今では将来を楽しみにすることができている。良くなかった部分を見直し、今後に役立てられると感じているからだ。

――もちろん勝ちたかったと思いますが、あれだけ善戦したことを誇りにも感じているのでしょうか?

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RC もちろんだ。私の家族以外、世界中の誰もが私が1ラウンドでKOされると思っていた。多くのファン、関係者が私があっという間に眠らされると予想していたことはわかっている(笑)。それが実際には、真っ向から勝負できた。アクションの多さで見ている人たちを喜ばせることができた。もちろん記録上は“勝利”ではないけれど、誰も予想しないことを成し遂げられたという意味では“勝利”でもあったのだと思う。

――大健闘によって、試合後には日本のファンからも熱い支持を受けたことに少し驚かされましたか?

RC それほど驚いてはいない。日本のファンはとても敬意にあふれ、親切な人たちだというのは知っていたから。私がリング上でできる限りのことをすれば、日本のファンにも喜んでもらえると思っていた。試合後、実際に多くの日本の方々からサポートしてもらえたことは嬉しいし、誇りに思う。女の子のファンが書いてくれた手紙も本当に嬉しかったな。

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