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「今日は言い過ぎました」原辰徳から“謝罪メール”…試合後なにがあった? 元巨人ヘッドコーチ・岡崎郁が明かす「原監督は攻撃型、阿部監督は守備型」
posted2025/06/01 11:02

2011年から2シーズン、巨人ヘッドコーチとして原辰徳を支えた岡崎郁
text by

岡野誠Makoto Okano
photograph by
NumberWeb
原辰徳のメール、2人の和解まで
10分、20分……岡崎郁に対する原辰徳の叱責は終わる気配がない。事情を知らない清武英利GMが「お疲れさまでした!」と気軽にドアを開けた。一瞬、空気が凍った。
「何も言わず、すぐ去っていきましたよ(笑)。『清武さん、出ていかないでよ~』って思いましたね。車で帰る途中、原監督からメールが入りました。帰宅して見ると、『今日は言い過ぎました。でも、期待の表れだから、悪く思わないでくれ。申し訳なかった』と。返信したら、『遅いじゃないか』って。いや、監督は運転手が付いてるけど、俺は自分でハンドル握ってるんだよと思いましたね(笑)」
翌日の試合前、いつものように監督室を訪れ、スタメンの確認をした。前日の激怒から一転、原はケロッとしていた。やり取りが終わると、岡崎の煮え切らない表情を見た原が「なんかあった?」と聞いた。
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「『いや、何もないですけど。昨日すいませんでした』と謝ったら、『いいよ』って言うわけです。いや、あなたは良くても、俺は良くないんだよって思って。聞いてみたんです」
岡崎は意を決した。
「監督、今後のために教えてください。昨日、セーフティースクイズのサインを出しているとわかっていました。ただ、満塁の時はないと思っていました。フォースプレーになるから、三塁走者が打球を判断してスタートできない。転がしたら、ホームに向かうしかない。でも、セーフティーなら、ウエストされても走者がアウトにならない。そこは知らなかったです。だから、申し訳なかったです」
謝罪した後、岡崎はこう聞いた。
岡崎:セーフティースクイズはないと思っていました。僕は間違ってますか?
原:……うーん。まあ、どっちもどっちだな。
岡崎:今後のための確認なんですけど、満塁でセーフティースクイズのサインが出たら、そのまま出しますね。
原:……うーん。もう出さない。
「両者痛み分け(笑)。その後、満塁でのスクイズは記憶にないですね。原さんはコーチの意見を一旦受け入れてくれます。負けた後、『明日こうしたいです』と言うと、『わかった』と頷いてくれる。でも、次の日になったら、『やっぱり違う方がいいんじゃないか』と前言を撤回する時もありました。最初は『え?』と思いましたけど、すごく勉強になりました」
原の言葉「郁。俺たちはな…」
既に決定事項としてチームで共有されたことを、原は平然と取り消した。