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中山雅史の魂の継承者、岡崎慎司。
稀代のストライカーをつなぐ共通点。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2013/02/18 10:30
2月6日のラトビア戦で岡崎は2得点を決め、日本代表史上最速でAマッチ30得点に到達。まだ26歳、どこまで記録を伸ばせるか。
岡崎慎司は、中山雅史の背中をずっと追っかけてきた。
裏への飛び出し、泥臭さ、攻守にわたる運動量、決定力……“尊敬するストライカー”中山から影響を受けてきただけに、新旧の背番号「9」にはやたらと共通点が多い。
2ゴールを挙げた先のラトビア戦。昨季限りで“第一線を退いた”中山が日本代表戦の解説者デビューを果たした試合でもあった。その中山は、岡崎を一体どのように見ていたのか。
神戸から帰京した翌日、中継を録画したものを早速見ると案の定、岡崎に対する中山のコメントは多かった。
前半30分、細貝萌からの縦パスに抜け出してオフサイドになった場面。
「オフサイドにはなりましたけど、今のタイミングでもうちょっと膨らんで出ればオフサイドじゃなかった。しっかりとディフェンスのタイミングを見ながらの動き出しは、できていると思いますね。
抜けた後に誰かが入ってくれば、そこでパスを通すこともできるし、攻撃の厚みも出てきますから」
前半41分、内田篤人のシュートに伸ばした右足で合わせて先制点を奪った場面。
「あそこ、狙ってたんでしょうね。ここに(ボールが)来たらという意識を持ってないと足が出ないと思うし、どんなボールでもっていう意識のもとでプレーしているんだと思います」
と、まあこのような感じ。
聞いていて率直に思ったのは当然と言えば当然なのだが、岡崎の気持ちが手にとるように良く分かっているということ。以心伝心のつながりとでも言うべきか。
中山が日本代表に確立した“スイッチャー”の役割。
中山と岡崎。
時代を前後して、日本代表のストライカーとして君臨した2人のようなタイプが何故、代表チームに欠かせない存在になっているのか。
15年前にさかのぼる。1997年秋。アジア地区第3代表決定戦を懸けたホームのカザフスタン戦で中山を代表に呼び戻したのが岡田武史である。指揮官はこれ以降フランスW杯まで継続して起用することになるわけだが、それは“ゴン効果”を実感したからに他ならなかった。
岡田はこう言っていた。
「ゴンを一言で表現するならスイッチャー。攻撃でも守備でも、最初にガーンと行ってくれる。それがあるから味方も次に行ける。たとえば攻撃でボールを回していても、前の誰かがスペースに動いていかないと、いつまで経ってもボールが前に行かなかったりする。そういうのをゴンはいつも先導してやってくれた」