日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
香川、清武、乾の“トリオ”に続け!
柿谷曜一朗、代表入りの日を考える。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byNIKKAN SPORTS/AFLO
posted2013/03/05 10:31
森島、香川、清武が背負った「8」を今季から受け継いだ柿谷。Jリーグ開幕戦では、新潟相手に0-0で迎えた後半43分に値千金の決勝ゴールを決めた。
「3人の試合は毎回録画してるし、応援して見てます。ライブで見たり、ちょっと早めに寝て、朝早く起きてから見たりとか、練習後にチェックしたりとか。3人が出てるときは、もうそこだけ見ている感じですね。応援目線なんで試合全体というよりも、ホント、3人のところだけ。だからちょっとした仕草とかで気になったらメールしてやるんですよ。『あんとき、こうしてたやろう』って」
3人とは香川真司、乾貴士、清武弘嗣のこと。
そしてこの声の主は、柿谷曜一朗。3人と柿谷を結びつける共通項は言うまでもなくセレッソ大阪だ。柿谷にとってかけがえのない仲間である。
香川、乾は2009年にチームをJ2からJ1に引き上げた立役者であり、2010年から加入した清武は2人が海外に渡った後のチームの中心となった。同年代の彼らはセレッソでの活躍から海外に飛び立ち、香川はザックジャパンの中心として活躍し、清武はロンドン五輪のエースからA代表でもレギュラーを張るようになった。乾も代表定着を目指している。
徳島で逞しさを身に付けた男は、香川たちとの差を一気に縮める!
随分と差をつけられてはいる。
U-17W杯での活躍など彼らの誰よりも脚光を浴びてきた柿谷は、「天才」と言われながら伸び悩んできた。チームでレギュラーを獲れず、五輪代表とも無縁。度重なる練習遅刻でレヴィー・クルピの逆鱗に触れて2009年シーズンの途中、J2徳島ヴォルティスに渡った。
だが2年間、徳島で精神的なタフさを身につけた男は、昨年、逞しくなってセレッソに復帰し、いきなりレギュラーの座を奪って自身初の2ケタ得点をマークした。反転攻勢の狼煙が上がったのだ。そして迎える2013年シーズン。自分の前を通り過ぎていった彼らとの“差”を一気に縮めてくるような期待を感じずにはいられないのである。
「去年は結果にこだわってやれた1年だったと思います。でもチームの成績がいいわけではなかったし、自分としてもまだまだ。だから今年はもっと結果にこだわってやっていかないといけない。今年も苦しいシーズンになるとは思いますけど、結果を出してそれを乗り越えていきたい。乗り越えられる覚悟もあるし、その自信もあります」