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“岡崎流”1トップがもたらしたもの。
ザックジャパン、2013年初戦の収穫。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

PROFILE

photograph byTakuya Sugiyama

posted2013/02/07 11:45

“岡崎流”1トップがもたらしたもの。ザックジャパン、2013年初戦の収穫。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

1トップ起用について、試合後に岡崎は「いろんなポジションでプレーできたほうがいい。僕が出ても自分の色を出せるのであれば」とコメント。ラトビアのスタルコフス監督も「一番危険なプレーをしたのは岡崎だと思う」と賞賛した。

「“決まった”というより“決めた”ゴール」

 岡崎は力を込めて言う。

「自分のなかでは“決まった”というより“決めた”ゴール。最近、クロスへの入り方をずっと考えていて、相手DFとGKの間に入ってくる速いボールに合わせるというか、ヨーロッパで点を獲るにはニアでの力強さが欲しいと思っていた。(シュツットガルトの同僚の)イビセビッチもそういうプレーをしていて、そのイメージどおりのボールだったし、それを狙って試合にも入ったので、あの場面で足を出せたのかとは思う」

 また、岡崎の1トップと同様に興味深かったのは、遠藤不在での攻撃の組み立てだ。

 前半途中までは停滞感はあったが、岡崎の裏狙いとリンクして吉田の後方からのパスが効いていた。1点目も吉田のパスから始まっている。確かに相手のプレッシャーを受けなかったことも、自由にパスを出せた要因ではある。とはいえ、相手の出方を見ながら組み立てられたことは収穫と言えるのではないだろうか。清武、内田の右サイドから崩そうとしたことも効果的だった。

細貝、乾、大津らもチームの約束事を守りつつ自分のテーマを追求。

 細貝も岡崎と同じく自分の個性を最大限に発揮しようとしていた。

 彼からの効果的なパスは少なかったかもしれない。しかしストロングポイントである対人の強さで、流れを変えることに一役買った。「ファウルしないで相手を止めることが(きょうの)自分のテーマ」と課題を持って取り組んでいた。

 この試合、チームがプレーヤーそれぞれの特性、特徴を大事にしようとしていた。もちろんチームの約束事は守ったうえで、だ。だからこそ「面白い」と思えたのかもしれない。

 後半にもそれは見えた。

 メンバー生き残りを懸ける乾貴士は、ボールを持てば得意の仕掛けからシュートを打ちまくった。「シュートを打ち過ぎて今ごろ足が痛いのではないか」と語ったザッケローニも好意的に受け止めていた。

 残り10分で投入された大津も然りだ。入ってすぐに執拗にボールへ食らいついていった姿には「このチャンスを絶対にモノにしたい」との決意が見てとれた。シュートこそ打てなかったが、その気持ちは十分に伝わってきた。右サイドバックに入った酒井高徳も躍動していたように思う。

【次ページ】 後半よりも、むしろ流れを変えた前半を評価したい。

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