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メジャー組不在でも優勝を狙える。
“力”重視のWBCメンバーはこれだ!
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byHideki Sugiyama
posted2012/11/29 10:31
左肩の違和感により、CS、日本シリーズには登板できなかったが、今季12勝を挙げて巨人の日本一に貢献した杉内。WBCには過去2大会とも選出され、2009年の前回大会ではリリーフで5試合に登板し、計6回1/3を無安打無失点と快投を見せた。
WBC出場を直訴した杉内の選出はあるのか!?
田中の与四死球率1.09は主な投手の中では吉見一起(中日)に次いで2番目に良い。能見は10勝10敗と表向きの成績はよくないが、打線の援護を得られないケースが多く、勝敗だけでは実力を判断できない。奪三振率8.51、与四死球率1.98という数字にこそ能見の真価が表れている。
杉内の奪三振率9.50も凄い。1試合で投げるイニングが短いリリーフ投手なら可能な数字だが、長いイニングを投げる先発でこの数字を記録するのは至難の業。左肩に違和感をおぼえ日本シリーズの登板を回避しているのでWBC出場は難しいと思っていたが、11月22日に行われた「ジョージア魂賞」の表彰式で出場を直訴している。
'09年の大会はすべてリリーフで5試合に登板、韓国(3試合)、キューバ、アメリカ相手に6回3分の1を投げ、無安打、無失点に抑えているので、今回選出されれば中心的な役割を果たすことは間違いない。
故障で出場が難しい選手の中では、吉見一起(中日)の与四死球率0.84、吉川光夫(日本ハム)の奪三振率8.19が群を抜いている。回復すれば代表に選ばれると思うが、ともに利き腕のヒジの故障が深刻で、出場は難しそうだ。
涌井にはやはり抑えの役割を期待したい。
リリーフの中では山口鉄也(巨人)、浅尾拓也(中日)、平野佳寿(オリックス)の奪三振率、与四死球率が光り、今大会でも力を発揮しそうだ。涌井秀章(西武)は数値こそ低いが、'12年シーズン途中に抑えに転向、それをきっかけにチームの順位を上げた実績がある。最多勝2回、沢村賞1回という過去の成績も一流で、このチームでは抑えの役割を期待したい。
WBCでは、1試合の球数が第1次ラウンド70球、第2次ラウンド85球、準決勝と決勝が100球までと決められているので、第1次ラウンドの先発は4、5回、第2次ラウンドは5、6回で交代するというのがこの大会の特徴である(今大会の規定は12月に決定される)。そのため、前回はダルビッシュ有→涌井、岩隈久志→杉内、松坂大輔→岩隈という、先発タイプ2人をつなぐ継投策が目立った。考え方としては「先発2人で1試合をまかなう」起用法である。そのため、先発タイプを8人選び、総勢13人の大所帯にした。