熱パ!クライマックス劇場BACK NUMBER
ソフトバンクが薄氷のCS進出決定!
下克上の予感漂う、「足」という武器。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byHideki Sugiyama
posted2012/10/05 12:30
明石健志(写真)の他、パ・リーグ盗塁数ベスト10のうち、5人をソフトバンクの選手が占めている(10月4日現在)。
9月に熾烈な覇権、クライマックスシリーズ(以下CS)争いを繰り広げてきたパ・リーグも、10月2日に日本ハムが優勝すると戦局は急激に変わった。
3日に2位・西武が楽天に勝利しCS進出を決めると、1日、2日とその西武に連勝し首の皮一枚を繋げていた5位・ロッテが、最下位のオリックスにサヨナラで敗れ終戦。
4日には、CSに望みをつなぐため勝ち続けるしかない4位・楽天が、5対2とリードで迎えた9回に西武に追いつかれ引き分け。後味の悪い終焉を迎えてしまった。
その結果、この日ゲームのなかったソフトバンクの「1」だったCS出場マジックがなくなり、プレーオフ進出が決まった。
「今日はゆっくり眠れるよ」
秋山幸二監督は記者たちの前でそう言って、安堵の表情を見せた。
ペナントレースを通じて見せた安定した戦い。
残りわずか3試合でのAクラス確定。この結果だけを見れば「薄氷を踏む勝利」とも見られるが、ソフトバンクはゲーム差こそ縮められる場面はあったものの、8月から3位をキープし続けていた事実もある。
各チームとの対戦成績にしてもそうだ。
優勝した日本ハムが3チームに負け越したのに対し、ソフトバンクは、交流戦を除けば楽天以外の4チームに勝ち越し。リーグ3連覇こそ逃しはしたが、ペナントレースを通じて安定した戦いを見せていたことになる。
攻守の要が抜け、戦力の「弱体化」が囁かれていた今シーズン。
その一方で、戦力の「弱体化」も囁かれていた。
昨年まで先発の柱だった和田毅、杉内俊哉、ホールトンの移籍。FAで西武から加入した帆足和幸も左肩痛の影響で戦力として機能していない。リリーフ陣も故障した守護神・馬原孝浩の復帰の目処が立たず、ファルケンボーグも右肩痛などでシーズンの大半を棒に振った。 攻撃陣にしても川崎宗則が抜け、右手甲骨折で長期離脱した松田宣浩をはじめ、小久保裕紀、多村仁志、本多雄一、内川聖一と主力選手の多くが怪我を抱えながらのシーズンとなった。