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阪神とオリックスは宿命の対決づくし。
鶴直人vs.T-岡田がもっと見たい!! 

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2010/06/07 12:40

阪神とオリックスは宿命の対決づくし。鶴直人vs.T-岡田がもっと見たい!!<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

鶴とT-岡田の対決で見えてくる両チームの育成事情。

 しかし、彼らの対決を見たかったという筆者自身の感情を抜きにしても……この時の采配は、単に目先の勝敗だけを優先し決断するべきものではなかったのではないか、という気がしてならない。

 それこそ大阪が生んだふたつのこの“宝”を、阪神とオリックスがいかに育ててきたのか? 

「関西ダービー」において彼らの対決が実現したという意味は、そこにあったのではないか。

 鶴と岡田は同級生であり、高校時代からのライバルである。ともに'05年高校生ドラフトの1位指名選手である。阪神とオリックスのチーム力に違いがあるにせよ、片や4番を任され、チームトップの11本塁打を記録しているのに、阪神はそこで鶴を続投させられなかった。この差は大きいのではないか。

 ローテーションやレギュラーに生え抜きの高卒選手がほとんどいない阪神。一方で、チーム合併の移籍があったとはいえ、坂口、T-岡田、近藤という高卒がチームの中核にいるオリックス。

阪神には次世代スター選手を自前で育てる気概が欲しい。

 真弓監督の采配批判ではない。

 あの場面での鶴の交代は、チームのスカウティング、編成、育成面においての敗北までも意味してしまうのではないか、と在阪の野球ファンなら思ってしまうということだ。肝心なところで交代させざるを得ないまでにしか、この5年間で鶴を育ててこれなかったことに問題があるのだ、と。

 試合は9-4でオリックスが勝利した。あの継投自体は結果的には成功で特別なものではない。だが、鶴とT-岡田と言う次世代のスター候補生の直接対決を避けたことに阪神の敗北があったのではないかと、筆者自身はそう思っている。

 だから……。

 替えて欲しくなかった。

 あの場面で鶴を替えてしまう阪神であって欲しくなかったのだ。

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