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2011年、サッカー界にできたことは?
震災で確認した「フットボールの力」。 

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byNIKKAN SPORTS/AFLO

posted2011/12/29 10:31

2011年、サッカー界にできたことは?震災で確認した「フットボールの力」。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS/AFLO

宮城のユアテックススタジアム仙台で開かれた「クリスマス・チャリティーサッカー2011」。共に体調などの事情でプレーこそできなかったが、サンタの格好をしたり審判をかって出るなどして大活躍した香川真司と内田篤人

世界のサッカーファミリーに広がった支援の輪。

 支援の輪はJリーガーにとどまらない。例えば川島永嗣は他競技のアスリートとともに被災地応援プロジェクト「TEAM NIPPON」に参加している。また長谷部誠は宮城・南三陸町の幼稚園建設を目的に4500万円を日本ユニセフ協会に寄付。6月にも5000万円を寄付しているという。一方、現役を引退した選手で言えば海外でチャリティーマッチを行なうなど支援活動に力を入れている中田英寿がクリスマスイブの日に岩手、宮城、福島の学校やサッカーチームに練習用ジャージー3655人分を贈ったというニュースが届いてきたばかりだ。

 繰り返して強調するが、こうやって並べてきた個々の活動の事例はあくまで一部分でしかない。当然ながらサッカーだけでなく、他のスポーツ業界もやっていることでもある。

 ただ、サッカーには古くからチャリティーと結びついてきた歴史がある。欧州王者バルセロナの胸に「ユニセフ」の文字が躍ったことが象徴的であり、洋の東西問わず、一般大衆に愛されてきたスポーツならではの“輪の世界”がある。ゆえに日本に起きた悲劇に対して、世界のサッカーファミリーからの反応は素早かった。義援金を準備したFIFAを筆頭にすぐさま支援の動きに出た。そして、この“輪の世界”にいる日本人フットボーラーたちもまた、自国の復興にあたって「何が自分に出来るのか」己の役割を考え、自ら行動に移していったと言える。

「支援は一過性のものであってはいけない」(中村憲剛)

 ただ、中村憲剛はこう言葉に力を込める。

「サッカーの力、フットボールの力というものを感じた1年でもありました。だけど、(支援は)一過性のものであってはいけない。来年以降も長期的に活動していくことが大事だと思うし、それを自分たちでもっともっと伝えていかなきゃいけないと思う」

 3・11以降、日本人フットボーラーたちは真剣に社会と向き合い、人と向き合い、自分と向き合ってきた。それがフットボーラーとして、ひと回り逞しくさせているのは間違いない。だが、中村が言うように大切なのは活動を継続させていくこと、これからの振る舞いがより大事になってくるのである。

 継続は力なり――。逞しきフットボーラーたちの支援活動はまだ始まりに過ぎない。

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