JリーグPRESSBACK NUMBER
2011年、サッカー界にできたことは?
震災で確認した「フットボールの力」。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byNIKKAN SPORTS/AFLO
posted2011/12/29 10:31
宮城のユアテックススタジアム仙台で開かれた「クリスマス・チャリティーサッカー2011」。共に体調などの事情でプレーこそできなかったが、サンタの格好をしたり審判をかって出るなどして大活躍した香川真司と内田篤人
小笠原、今野ら東北出身のJ選手が地元に支援の手を。
Jリーグが再開した4月以降、選手それぞれの支援活動が活発化した。
震災から7日後に大船渡、陸前高田を慰問していた小笠原満男は宮城出身の今野泰幸らに呼びかけて「東北人魂を持つJ選手の会」(東北人魂)を結成。サッカー用品を集めて被災地に送り、子供たちがサッカーを続けられるように奔走した。チャリティーオークションを行なったり、被災地の子供たちを試合に招待する活動を続けている。
現在も「東北人魂」で活動する今野は、震災から1カ月後に宮城に戻って避難所を慰問。被災地の人々との触れ合いを通じながら自分の出来る役割を考えたという。
「宮城の人から『今野さんがサッカーで頑張ってくれることで宮城も活気づくんだよ』と言われたことを自分のなかで強く受け止めました。最初はサッカーなんかやっている場合じゃないとも思いましたけど、プロの選手としてやれることをしていかなければと思うようになって……。世界のクラブから応援のメッセージが日本に届いたり、やっぱりサッカーの力というのは凄いんだなと感じることができた」
中村憲剛は得点を決めるごとに10万円の義援金を寄付。
Jの各クラブもそれぞれが支援に力を入れていく。なかでも精力的な活動を展開しているひとつが川崎フロンターレ。「Mind-1ニッポンプロジェクト」と命名し、サポーターグループと歩調を合わせて市全体の規模に広げた。選手による街頭募金や、試合への招待だけでなく、9月18日には陸前高田市の小学校を慰問して選手会主催のサッカー教室を開き、「川崎フロンターレ算数ドリル」を寄付している。
チームの中心選手である中村憲剛は、日本赤十字社を通じて公式戦で1ゴール、1アシストを決めるごとに10万円の義援金を送るという独自の活動を行なっている。活躍のたびに報じられれば、支援の呼びかけにもなる。彼もまた「フットボールの力」を実感している一人である。
「3月のチャリティーマッチでカズさんがあのようにゴールを決めて、みんなひとつになって喜んで……やっぱりそういうのを出せるのはスポーツのなかでサッカーが一番なんじゃないかと思うんです。サッカーにはそういう力がある。僕としては一人のサッカー選手として、少しでも継続的に支援やサポートをしていけたらいい」