Jリーグ観察記BACK NUMBER
GM、そして監督も解任して……。
浦和レッズはいま何をするべきか?
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byMasahiro Ura
posted2011/10/22 08:02
10月15日にホームで行われた「さいたまダービー」に0-1で敗れた後の公式会見で、今季限りで辞任する意向を明らかにしていた浦和レッズのペトロビッチ監督。今季どころか、それからわずか5日後に解任となってしまった
プロサッカークラブはスペシャリストの集団であるべき。
これではポストが空くまで、他の部署で“順番待ち”をしていただけのような印象を与えてしまうだろう。社長の任命責任が一番大きいのは間違いないが、経歴だけみると実に不思議な存在になってしまう。
こういう例をあげたら、きりがない。
2008年までトップチームのコーチだった広瀬治氏は、フィンケの監督就任とともに強化部のスカウトへ異動。フィンケの退任が決まると、後任のペトロビッチ監督の下でコーチを務めることが決まった。逆に、スカウトから強化部長になっていた宮崎氏は、地域活動をするためのホームタウン推進本部普及部に移った。
ことプロサッカーという世界において、専門家でない人間が門外漢の部署に行くことのメリットが大きいとは思えない。ゼネラリストを育成するという意味もあるのかもしれないが、プロサッカークラブというのは一生が保証された終身雇用の場ではない。スペシャリストが集まり、それぞれが才能を発揮すべき場だ。
また、人件費という意味でも、“順番待ち”の人間をクラブ内に多く抱えるのはコストがかかりすぎる。ヨーロッパの場合、強化部門というのは、トップにGM(もしくはスポーツディレクター)がいて、その下にスカウトがいるだけ、というとてもシンプルなものだ。日本的な企業の感覚で、本部長だとか部長だとか、縦割りの階層を作るから無駄が生まれるし、病巣的な派閥が生まれてしまうのである。
浦和の病巣を指弾していたフィンケの示唆に富む言葉。
あらためてフィンケのインタビューを読み返すと、実に示唆に富んでいた。
ここにその一部を再掲載したい(詳しくはNumber772号を参照)。
「構造的な問題がある。クラブはたくさんのスタッフを雇っているが、正直なところ1人ひとりの生産性が高くないという印象だ。クラブの実際の業務は、もっと少ない人数でこなせる。多くの人間がひとつの仕事に関わっているのは、職を生み出すという点で、ポジティブな面もあるのかもしれない。しかし、即断即決が求められるプロサッカークラブにおいてはどうか」