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30日の東京ダービーで何かが起こる!!
J2のFC東京が首位で迎える正念場。 

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byYusuke Nakanishi/AFLO SPORT

posted2011/10/26 10:31

30日の東京ダービーで何かが起こる!!J2のFC東京が首位で迎える正念場。<Number Web> photograph by Yusuke Nakanishi/AFLO SPORT

羽生直剛をトップ下に置く4-2-3-1で今季途中から快走を続けているFC東京。チームは、前身の東京ガス時代から東京の地元チームとしての意識が高く、東京ヴェルディとのダービーマッチは、サポーターも異常な盛り上がりを見せる

 FC東京のJ1復帰が目前に迫ってきた。

 10月23日、アウェーでのサガン鳥栖との1、2位対決をスコアレスドローで引き分け、勝ち点を64とした。2位以下との差はさほど縮まっておらず、昇格に向けていよいよラストスパートに入る。

 FC東京の成績は昨季、J2を独走で優勝して1年でJ1復帰した柏レイソルと比べてみてもそれほど遜色はない。昨季の柏が23勝11分け2敗の勝ち点80、得失点差+47で優勝したのに対して、FC東京はあと7試合を残して19勝7分け5敗、勝ち点64、得失点差+39。昨季よりJ2が1チーム増えたことで2試合分多いとはいえ、このまま順当に勝ちを重ねていけば結果的には柏のように「独走」でJ2の戦いを1シーズンで切り抜けることになる。よもや連敗したところで……いや、もはやそんな心配はいらないぐらいの勢いが今のFC東京にはある。最終的には勝ち点「80」前後で落ち着くのではないだろうか。

羽生直剛が勝利の後に流した涙と謝罪の意味とは。

 どれだけぶっちぎりで優勝するか――。

 開幕前、周囲の興味はその一点にあったように思う。J2に降格したとはいえ、メンバーのほとんどがチームに残り、積極的な補強もあった。A代表の今野泰幸、権田修一らを擁し、J1勢もうらやむほどの豪華メンバーを誇っていたためだ。

 しかしながら、そう簡単にはいかなかった。今こそ独走状態にあるが、序盤戦は苦しい戦いを余儀なくされた。

 開幕前後に平山相太、米本拓司らを筆頭に主力にケガ人が続出した影響もあって、序盤戦はゴール欠乏症に陥った。当然ながらゴールが生まれなければ、勝利はない。スタンドからはサポーターの容赦ないブーイングが飛び交い、選手には勝って当然というプレッシャーがのしかかった。開幕から6戦目のアウェーのザスパ草津戦に敗れて暫定で9位まで転落。この暗雲立ちこめた状況から、FC東京は這い上がってきたわけである。

 チームが停滞ムードにあった序盤戦に、こんな出来事があった。

「(これまで)勝てなくてすみませんでした!」

 5月8日、ホームでのカターレ富山戦。4試合ぶりにチームにゴールをもたらして途中出場ながら勝利に貢献した羽生直剛はヒーローインタビューでマイクを向けられると、開口一番、サポーターに向けて謝った。勝ったのに、謝罪から始まったのである。

 みるみるうちに目が赤くなった。ユニホームで涙を拭き、言葉を詰まらせた。勝って当たり前というプレッシャーがどれほどの重さなのか、それが伝わってきたシーンでもあった。だが、この涙には違う意味もあった。

【次ページ】 「個人だけで勝負してもうまくいかない」(羽生)

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