ジーコ・ジャパン ドイツへの道BACK NUMBER
第1回:「1年以上にわたる長期戦がはじまる」
text by
木ノ原久美Kumi Kinohara
photograph byTakuya Sugiyama
posted2004/01/22 00:00
2006年ワールドカップ(W杯)・ドイツ大会へむけて、いよいよ2月のオマーン戦を皮切りに日本のアジア地区予選が始まる。
日本がW杯予選を戦うのは1998年フランス大会の予選以来のことだ。このときは、一次予選を1997年の3月と6月に約1週間ずつ、それぞれ1カ所に出場チームが集まって対戦し、最終予選は同年9月から11月中旬までの間にホーム・アンド・アウェイ方式で行った。しかし今回は2004年に一次予選、2005年に最終予選をいずれもホーム・アンド・アウェイ方式で行う。これほどの長期間におよぶ戦いは、日本にとってもアジア各国にとっても初めてのことだ。
一次予選でオマーン、インド、シンガポールと同じグループ3組になった日本は、まず2月18日に埼玉でオマーンと対戦し、3月31日にシンガポールに出向き、6月9日にインドをホームに迎える。その後、アジアカップ(7月17日〜8月7日、中国)をはさんで9月8日にインド、10月13日にオマーンとそれぞれアウェイで戦い、最後のシンガポール戦を11月17日にホームで終える予定。
最終予選へ駒を進めることができるのは、全8グループの各1位通過者のみで、この8チームでアジアの出場枠の4.5を争う。
来年2月に開始予定の最終予選で勝ち進んだ8チームが、2グループに分かれて対戦し、各グループの上位2チームがドイツ大会の出場権を得る。残る0.5はCONCACAF(北中米カリブ連盟)とプレーオフを戦って得られる出場枠1への挑戦権で、これは最終予選の両グループ3位チーム同士が対戦し、その勝者に与えられる。このチームがCONCACAFとのプレーオフで勝てば、ドイツ行きの切符を手にできるというもの。
今回の長期にわたる予選日程をみると、Jリーグやアジアカップ、アテネオリンピック(予選突破できれば)が開催されているという“日常”の中にW杯予選の各試合が、その都度ポンと入ってくるような形だ。その形態は一般の親善試合開催とさほど変わらないが、試合の重要度には大変な違いがある。それだけに、日常から予選へ選手の頭の切り替えと、精神的にも身体的にもそこで好調でいられるためのコンディショニングが重要になると考えられる。
また、欧州組の招集も、所属クラブの事情などから常に可能とは限らない。FW大久保やMF石川らの若手の招集も、五輪代表チームの活動状況や日程の重複などを考慮せざるを得ない場合もでてくると思われる。それ以外にも、ケガや病気などに見舞われる可能性を考えると、誰が欠けても困らないようなベンチの厚さ、特に国内組の底上げも、長期間の予選を戦い抜くための重要な要素になるだろう。
日本チームは1月26日から欧州組メンバー抜きで合宿に入る。その後、マレーシア(2月7日、カシマ)、イラク(2月12日、国立)との親善試合を経てW杯予選初戦を迎える。国内シーズンが始まれば、代表チームとしてまとまった時間をかけて活動できる機会は少ない。今のうちにチームのやり方を再確認して、基礎固めをしておきたいところだ。
(以下次号へ)。