プロ野球亭日乗BACK NUMBER
甲子園も昔は震災被害にあった……。
今こそ阪神は収益からの支援策を!
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2011/05/01 08:00
写真は2008年の真弓明信監督就任時。株式会社阪神タイガースの経営陣のふたり、坂井信也オーナー(左)と南信男社長(右)は、阪神タイガースのトップとして東日本大震災に対し、どのような支援を行うつもりなのだろうか?
東日本大震災が起こってからほぼ2カ月が経とうとしている。
被災地では地震と津波によって家を失い、そして原発事故によって家はあっても近寄ることもできない人々が、いまもなお不便な避難所生活を強いられている。
その中でプロ野球は4月12日にセ・パ同時開幕して、3週間近くが経過した。4月29日には被災地の仙台をフランチャイズにする楽天が、本拠地のクリネックススタジアム宮城で主催試合を開催。東北のファンも一体となって声援を送ることで、球界も復興への本格的な第一歩を踏み出した。
そうしたグラウンドの動きと同時に、長いスパンで自前の支援活動に動き出したチームがあるのも評価すべきことだった。
応援するほど義援金が増える!? 楽天、巨人の独自支援策。
地元・楽天の支援策は、1勝につき100万円の義援金というものだ。昨年の楽天は62勝。この計算でいけば6200万円を寄付することになるが、もっとでっかく優勝ラインの80勝まで届けば、8000万円を越える義援金へと増えていくシステムだ。
勝つことが直接、被災地への支援活動に結びつく。だからこそ選手にとっても、応援するファンにとっても、意義あるシステムとなるわけだ。
一方、開幕問題で批判の矢面に立った巨人も、今年の東京ドーム主催試合の入場者数の10倍にあたる金額を義援金として送ることを発表した。
こちらは球場にファンが足を運ぶことによって、それが直接、義援金の金額を決めるというシステムだ。昨年の巨人の東京ドーム主催試合の入場者数は280万5610人で、この実績で計算すると義援金は2805万6100円ということになる。
この2球団の支援システムで大切なことは、自前のお金で年間を通して支援のスキームを作った、ということではないだろうか。
これまでも球界ではチャリティー試合や募金など様々な、被災地支援活動は行ってきた。
このコラムでも何度か書いてきたが、震災発生からまず球界ができることは、こうした経済的な支援だった。野球をやることでそこに人が集まり、募金活動などファンを巻き込んだ支援活動の場所にできる。そういう意味で球界も、東日本大震災からここまで、当面の果たすべき役割は担ってきた、と思う。