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甲子園も昔は震災被害にあった……。
今こそ阪神は収益からの支援策を! 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byKYODO

posted2011/05/01 08:00

甲子園も昔は震災被害にあった……。今こそ阪神は収益からの支援策を!<Number Web> photograph by KYODO

写真は2008年の真弓明信監督就任時。株式会社阪神タイガースの経営陣のふたり、坂井信也オーナー(左)と南信男社長(右)は、阪神タイガースのトップとして東日本大震災に対し、どのような支援を行うつもりなのだろうか?

数年先まで支援を続けられるスキーム作りが不可欠。

 ただ、チャリティー試合は限られた期間、限られたイベントでしかなく、募金はファンの善意にのみ頼るものなのが、何とも心もとないところでもあるのだ。

 被災地の復興支援は、これから数年の長いスパンで取り組まなければならない一大事業となるだろう。だとしたら球界として考えなければならないのは、NPBなり各球団なりの組織が、年間を通した(というよりこの先数年の期間で)長いスパンで支援できるスキームをどう作るか。

 そしてその資金のねん出の仕方もそうだ。募金でファンからお金を集めることも一つの方法ではある。ただ、同時にファンからお金を集めるだけでなく、球団も組織として、野球をやった収益から多少なりとも自前の支援金を出すことも不可欠だと考える。

 だから楽天や巨人が、年間を通して自前の支援のシステムを作り出したことには、素直に拍手を送りたい。

豊富な資金を持つ西の雄・阪神に支援策の旗振り役を!

 そして、この動きが12球団に広がることを期待したいが、その一方で球団によってはかなり厳しい経済的状況に置かれているところがあるのも否めない。

 特に電力不足によって4月のナイターが中止となり、夏場にも再びナイターでの興行が危ぶまれている東北、東京電力管内では、横浜やヤクルト、西武のように経営そのものがピンチに立たされる球団も少なくない。

 この3球団ほどではないにしても、巨人や楽天、ロッテも年間で大幅な減収は必至であり、これらのチームに「もっと身銭を切って被災地支援を!」と求めることは、いささか酷な状況であることは明記しておかなければならないだろう。

 と、なると……。

 やはり頑張ってもらわなければならない球団がある。

 昨年、12球団で経営収支が黒字だった球団は巨人と阪神、広島の3球団だった。

 その中で巨人はすでに支援策を発表し、広島は昨年は利益が出たといっても新球場バブル的な側面も多く、今季の経営が決して安定しているとはいえないだけに、やはりここは西の雄ともいうべき阪神に、頑張ってもらわなければならないのではないだろうか。

【次ページ】 球団収益からの継続的な支援策を。

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