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「エース候補」から卒業したい!
内海哲也は巨人の「柱」になれるか?
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byHideki Sugiyama
posted2011/05/02 12:30
開幕第2戦目となるヤクルト戦。内海は8回2アウト1、3塁の場面で久保裕也に交代している。9回は守護神・山口鉄也が登場し、3対0で巨人が勝利した
春季キャンプ後半の内海哲也はキレていた。
もちろん、感情的なものではない。無駄のない投球フォームからボールの質まで、投手として全てに“キレがあった”ということだ。
そして何より、シート打撃にもかかわらず一球、一球「おっしゃぁ!」と咆哮をあげる様は、今シーズンの内海の躍進を期待させるものがあった。
「だいぶ仕上がってきたというのもありますけど、今年はフォームのバランスがすごく良くて。ボールにしても真っ直ぐ、変化球ともにいい感じで投げられています」
そう、本人も納得の表情を覗かせていた。
「本物のエースに」という首脳陣の期待を背負って臨んだ昨シーズン。11勝という結果を残し、とりあえず2桁勝利は達成した。しかし防御率はというと、規定投球回数に達した年ではワーストの4.38。シーズン途中にファームに落とされるなど、良いときは良いが、悪いときはとことん悪かった。
だからこそ、今シーズンの彼はこう誓ったのだ。
「調子が悪いときは悪いなりにゲームを作る。負けないピッチャーを目指したい。そうなれば、野手や首脳陣から信頼されるようになると思うんで」
プロ入り8年目の今季。エース「候補」から脱するために……。
開幕から3試合に登板し、2勝1敗、防御率2.08と結果としては悪くない。
だが、ベンチの起用から判断するに、内海はまだ首脳陣から確固たる信頼を得ていないのだと感じざるを得ない。
エース候補としてキャンプから開幕投手にこだわってきた内海だが、オープン戦や練習試合での結果が伴わなかったせいか、昨年13勝を挙げ飛躍を遂げた東野峻に、その座を奪われてしまった。
そして、「刺激を受けた。負けていられないと思った」と強い気持ちで臨んだ開幕第2戦のマウンド。8回途中までヤクルト打線を無失点に抑えていながら、走者を残して交代を命じられている。