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「皐月賞もモレイラだ…」“単勝1.5倍”クロワデュノールはなぜ敗れたのか?「じつはミュージアムマイルにも不利があった」勝負を分けた“ある要因”
posted2025/04/21 17:02

名手ジョアン・モレイラに導かれレースレコードで皐月賞を制したミュージアムマイル。断然人気のクロワデュノールは2着に敗れた
text by

島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Kiichi Matsumoto
「うわっ、またモレイラだ!」
勝利を手にしかけた大本命を、伏兵が瞬時に抜き去った。場内のファンや関係者が驚嘆まじりに叫んだのは、勝った馬ではなく、騎手の名だった。
クラシック三冠競走の皮切りとなる第85回皐月賞(4月20日、中山芝2000m、3歳GI)で、「マジックマン」ことジョアン・モレイラが乗る3番人気のミュージアムマイル(牡、父リオンディーズ、栗東・高柳大輔厩舎)が優勝。これが短期免許で4週目の騎乗だったモレイラは、高松宮記念、前週の桜花賞につづく今春3回目のGI制覇となった。
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一方、昨年の2歳王者で、単勝1.5倍の圧倒的1番人気に支持されたクロワデュノールは1馬身半差の2着に敗れた。
三冠制覇も期待された「一強」のクロワデュノールはなぜ負けたのか。そして、モレイラはいかにして勝利をもぎ取ったのか。
「あれがなければ…」クロワデュノール陣営が語った敗因
クロワデュノールもミュージアムマイルも速いスタートを切った。2頭のうち、前に行ったのはクロワデュノールだった。この時点で、展開のうえでもクロワデュノールはマークされる側、ミュージアムマイルはマークする側となった。マークというのは、する側が有利なのは言わずもがなだろう。
クロワデュノールは4番手の外目を通って1コーナーへ。ミュージアムマイルはその2馬身ほど後ろ。1コーナー手前で4頭の被害馬が出るアクシデントがあったのだが、これら2頭はその前にいたため事なきを得た。
馬群は向正面に入った。ここでも同時多発的なアクシデントがあった。
きっかけとなったのは、マクる戦法で結果を出してきたファウストラーゼンが、外から一気に押し上げてきたことだった。それを追いかけ、アロヒアリイも上がってきて、つられるようにドラゴンブーストも前に行こうとした。そのとき、アロヒアリイが内に斜行してドラゴンブーストが押圧され、さらに内にいたクロワデュノールに接触した。クロワデュノールの北村友一は手綱を引いて減速し、後ろに下げざるを得なくなった。