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「やっぱり甲斐さんの準備力というか…」甲斐拓也は巨人に何をもたらしたのか? 阿部慎之助監督も絶賛する攻守の存在感「他の打者も真似してほしい」
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鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2025/04/21 17:04

今季から巨人に加入した甲斐拓也捕手。開幕から攻守ともに影響力を発揮している
ペナントレースは各チームとの対戦が一巡して、二巡目に入ってきている。パ・リーグからセ・リーグに移籍してきた甲斐にとっては手探りから、次第に対戦データも蓄積されて、今後はますますリードの幅も広がっていくことにつながるだろう。
「まだ一回りしたばかりですけど、その一回りの中でも自分の中で色々な課題、見直さなければならないところも一杯ありました」
甲斐自身はこの1カ月をこう振り返っている。
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「相手だけではなく、ウチのピッチャー陣というところも、自分が色々考えて、見つめ直して、受け入れてやっていかないといけないなということころがたくさんあった。それを一つずつクリアしてやっていく必要がある。本当に今の段階ではそう思っています。まだまだ色んな壁に当たることはあると思いますけど、それに向き合ってやっていきたい。1年は長いので、向き合って1つずつやっていければいいと思っています」
4月15日のDeNA戦では、坂本勇人内野手、トレイ・キャベッジ外野手が登録を抹消される中、打力を買われて「2番」で先発。巨人では1961年の藤尾茂以来64年ぶりとなる捕手の2番起用に応えて、3回に決勝打となる先制タイムリーを放って先発の井上温大投手を攻守に援護した。
「思い切りもいいし、切り替えもできるので、結果が出る。他の打者も真似して欲しい」
甲斐の本領発揮はシーズン終盤
阿部監督の評価通りに打席でも相手の配球を読んで思い切りバットを振る。豪快な空振りもするが、空振りを恐れずにしっかりバットを振り切れるのは、打者としても足し算で相手の配球を読んでいるからなのだろう。
「甲斐の本領はシーズン終盤になればなるほど出てくると思います」
こう語っていたのは村田総合コーチだ。
シーズンを消化して、足していくものが増えれば増えるほど、甲斐の存在感はますます大きくなっていくということである。
