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「今年は甲斐で行きます」阿部慎之助監督も明言…巨人はなぜ甲斐拓也捕手が必要だったのか? “甲斐ノート”でデータ蓄積「本当に力を発揮するのは…」
posted2025/03/10 17:00

今季から巨人に加入した甲斐拓也捕手。阿部慎之助監督は正捕手としての起用を明言している
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鷲田康Yasushi Washida
photograph by
JIJI PRESS
なぜこの選手が必要だったのか。
昨オフの巨人の補強で焦点の一つとなったのが、ソフトバンクからフリーエージェントを宣言した甲斐拓也捕手の獲得だった。
甲斐獲得の動きが表面化した直後から、この補強には様々な意見が飛び交ったのは記憶に新しい。その多くが「あえて捕手の補強が必要なのか?」という声だった。
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昨シーズン、巨人が4年ぶりのペナント奪回に成功した背景の一つに大城卓三、岸田行倫、小林誠司の3捕手制のプラス面があったことは見逃せない。
今はビッグデータを元にバッテリーが打者をどう攻略していくかは、ほぼ同じアプローチになりがちだ。一方でピンチの局面や追いこまれた状況では捕手の持つ感性が勝負の行方を左右することになる。
そういう意味では昨シーズンは大城、岸田、小林という捕手の三者三様の感性がプラス面に出たことが、巨人の投手陣の幅を広げて優勝の一つのポイントになったとも言える。
3捕手制のメリットは確かにあった。
しかしリーグ優勝した昨年の3捕手制から、阿部慎之助監督はあえて新たに甲斐という捕手の獲得に動いた。もちろん甲斐の能力の高さ、キャッチング、甲斐キャノンと称された肩の強さもあるが、何より投手を引っ張っていく力を買ってのものだったのはいうまでもない。
「甲斐が本当の意味で力を発揮するのはまだまだ先、秋になってからだと思いますよ」
こう語るのは村田善則総合コーチだ。
村田コーチはスコアラー、バッテリーコーチとして20年近くに渡り、日本代表チームで捕手陣をサポート。甲斐とは2019年のプレミア12大会と21年の東京五輪、23年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)などをともに戦い、世界一まで駆け上がった間柄でもあった。いうならばいまの巨人で甲斐という捕手を最も知る人物の一人となるわけだ。
村田コーチの甲斐評
世界一に輝いた代表チームで見てきた甲斐の捕手としての持ち味を、村田コーチはこう説明する。
「どんな場面でも全く変わらない。そこが凄いと思いますね」
村田コーチの甲斐評はこうだ。