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「やっぱり甲斐さんの準備力というか…」甲斐拓也は巨人に何をもたらしたのか? 阿部慎之助監督も絶賛する攻守の存在感「他の打者も真似してほしい」

posted2025/04/21 17:04

 
「やっぱり甲斐さんの準備力というか…」甲斐拓也は巨人に何をもたらしたのか? 阿部慎之助監督も絶賛する攻守の存在感「他の打者も真似してほしい」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

今季から巨人に加入した甲斐拓也捕手。開幕から攻守ともに影響力を発揮している

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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Hideki Sugiyama

 開幕から間もなく1カ月。チーム内でその存在感が日増しに大きくなっているのが、巨人の甲斐拓也捕手だ。

「やっぱり甲斐さんの“準備力”というか、試合前からこのバッターにはこういう風にいきたいとかはっきり伝えてくださるので、自分の頭の中でもしっかり整理して試合に入っていけていると思います」

 こう語るのは開幕から3試合、23イニングスで無失点、防御率0.00を続けている山崎伊織投手だ。

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 山崎が指摘する甲斐の“準備力”とは、試合前のバッテリーミーティングでのことだった。

 スコアラーやアナリストから提出されてきたデータ、担当コーチの分析を元に、甲斐は独自に書き留めている気づきをプラスして、各打者への攻め方を具体的に投手に伝えていく。自分のやりたい配球の意図を、事前に投手に伝えることで、例えばピンチの局面になってもマウンドの投手が迷うことなく、意思を持った球を投げることにつながっている。

「彼の凄さを感じるのは、そういう準備が目の前の試合だけを見ていないことなんです」

 こう語るのは実松一成バッテリーコーチだった。

「1つの試合の中で前の打席の攻めを前提に、配球は変化していく。まあそれはある意味、当たり前なんですけど、彼のリードは3連戦があるとしたら、その3連戦をトータルで見ながら考えている。前の試合の配球が、翌日の試合への伏線にもなっていく。そうやって3連戦を終えると、次に同じ相手と対戦する時には、そのときの配球を踏まえた上で組み立てを考えている」

 そうしたことを事前にミーティングで投手に説明して試合に臨むことで、バッテリー間の意思疎通が明確となり、投手はピッチングに集中できるようになっている。

 そこが甲斐の持つ秀でた捕手力の一つ、ということだ。

勝負場面で「攻めの配球」

 ただ、もちろん試合は生き物である。投手の状態や点差、状況は刻一刻と変化していく。

【次ページ】 勝負場面で「攻めの配球」

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