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「なぜ大阪桐蔭は苦戦している?」エース&主将が明かした“名門の今”…夏の甲子園“最後の優勝”は7年前、新たなライバル校も出現「カギは世代No.1投手」
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柳川悠二Yuji Yanagawa
photograph byYuji Yanagawa
posted2025/04/19 11:05

大阪桐蔭エースの森陽樹(左)、主将の中野大虎
MAXは153キロの森は、昨秋以降は球速表示よりも、ボールの質にこだわって直球を磨いてきた。森は言う。
「ベース上で強い球というか、相手打者が差し込まれるようなストレートを求めてきました。打者の手元でボールがたれない(沈まない)ことだけでなく、スピン量も意識しています。とにかくキャッチボールから、低くて強いボールを投げる。ピッチング練習でも、捕手に定位置よりも後ろに座ってもらって、よりボールを伸ばしていく練習にも取り組んできました」
プロ基準を上回った…森の“異常値”
大阪桐蔭では最後の夏を前に、野球のデータ解析を行うラボ「ネクストベース」に投手陣の球質を解析してもらうことが慣例となっていて、「2200」がプロの基準といわれる1分間の回転数で、森は驚愕の数値を叩き出してきた。
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「1年生の時は2500。去年も2400ぐらいありました。1年から2年の間に回転数が落ちたとかじゃなくて、誤差の範囲だと思っています。自分は直球はどちらかというと真っスラ気味で、スライド成分過多らしいんです。でもシュート成分過多よりは良いらしくて……そこは安心しました。球速にはこだわっていないですけど、やっぱり最後の夏には155キロを出したいと思っています」
強化合宿の2日目に行われた紅白戦で、森は打者6人と対戦した。球速は146キロを計測するも、やはりコントロールが定まらず、変化球でかわすような投球となった。
「ちょっと力が入ってしまって、コントロールが乱れてしまった。悪いなりにも、変化球で打ち取ることができたのは良かった。アピールできたと思います」
「世代No.1」奪還なるか
1年生の秋、この世代で最も大きな注目を集めたのは、今回のセンバツで155キロを記録した石垣元気(健大高崎)でも、優勝した横浜の左腕・奥村頼人でもなく、大阪桐蔭の森だった。雌伏の時を過ごしてきたからこそ、世代ナンバーワンの称号を夏に取り戻したい森がいる。
「その気持ちは持っているんですけど、周りにどう思われるかよりもまずは自分なので。夏は絶対に自分たちが甲子園に行って、必ず日本一になります」
有言実行を果たすことができれば、9月には侍ジャパンのユニフォームを着た森が、そして晩秋にはプロからの指名を受ける森の姿があるに違いない。
