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ビックリ出現「今まで対戦した投手でNo.1」大阪桐蔭もスカウトも驚いた“2人の無名高校生”は何者か? 強豪校の誘いゼロ「超ダイナミックなフォーム」
posted2025/04/19 11:03

大阪桐蔭選手もプロスカウトも驚いた“2人の無名選手”とは
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柳川悠二Yuji Yanagawa
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Yuji Yanagawa
全国から42人の選手が集まり、4月3日から3日間にわたって実施された高校日本代表候補合宿の初日——。大阪桐蔭の190cm右腕・森陽樹は、最初のメニューであるキャッチボールの相手に未来富山の江藤蓮を選んだ。
世代で最も早く注目を集めた153キロ右腕と、全国的には無名の北陸の左腕。高校野球界における知名度は比ぶべくもないが、森は江藤の投げるボールに驚きを隠せなかった。
「真っ直ぐに伸びもあって、強いボールだった。『どんなイメージで投げているの?』と質問しました」
「中学は超無名」江藤蓮とは何者?
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ネット裏に陣取ったスカウトや報道陣が驚いたのは2日目の紅白戦だ。身長180cm、体重83kgの江藤は左腕をムチのように使って130キロ台後半のストレートと、スライダー、フォークの変化球を投げ込んでいく。打者6人に対し、許したヒットはゼロ。重たそうなボールの質やがっしりとした肉体は、2年前の合宿に参加していた愛知・享栄時代の東松快征(現・オリックス)を想起させた。
江藤の通う未来富山は通信制の高校で、これまで甲子園出場経験はない。同校は部内でいじめがあったとして、日本学生野球協会により3月1日から1カ月の対外試合禁止の処分も下されたが、江藤は関与がなくこの合宿に参加していた。ノーマークの学校とはいえ、北陸ナンバーワン投手という触れ込みも納得のピッチングだった。江藤は言う。
「中学時代は球速も130キロは出ていなかったですし、強豪校から勧誘を受けることはまったくありませんでした。野球を始めた頃からプロ野球選手になりたくて、できることなら高校からプロに行きたい。(全日制に比べれば)通信制の学校は勉強の時間が少なくて、その分、野球に費やせる時間が増える。だから未来富山を進学先に選びました」
大阪桐蔭選手も驚き「知りませんでした」
森と共に参加した大阪桐蔭の主将で、右投手の中野大虎も、目を見開いて江藤のマウンドを凝視した。