甲子園の風BACK NUMBER
「なぜ大阪桐蔭は苦戦している?」エース&主将が明かした“名門の今”…夏の甲子園“最後の優勝”は7年前、新たなライバル校も出現「カギは世代No.1投手」
posted2025/04/19 11:05

大阪桐蔭エースの森陽樹(左)、主将の中野大虎
text by

柳川悠二Yuji Yanagawa
photograph by
Yuji Yanagawa
大阪桐蔭の今「主将とエースは別の部屋に…」
全選手が寮で暮らす大阪桐蔭の主将・中野大虎は、2年前の入学時から同じ大型右腕の森陽樹と同部屋で過ごしてきた。中学時代にボーイズリーグで名を馳せた豪腕と、宮崎の中学校で軟式野球に励んできた森をわざわざ同部屋にするのは、グラウンドで競わせるだけでなく私生活でも刺激し合う関係を築かせようという学校関係者の意向もあったのだろう。切磋琢磨しあうふたりは共に1年秋よりベンチ入りしてきた。中野は言う。
「ライバルのようにいつも言われるんですけど、日本一を獲るためにやっている良いチームメイトであり、刺激をもらう仲間です」
しかし、昨夏の甲子園2回戦で小松大谷(石川)に敗れたあと、新チームの主将となった中野は、森との別離を決断する。主将自ら決定する部屋割りで、森とは別の部屋で過ごすことにしたのだ。
ADVERTISEMENT
「1年以上も同部屋で、お互いに色々知ることができて、刺激し合ってきました。目指す道は同じプロなんですけど、(同じ部屋で)一緒の道を進んでいたらダメだと思ったんで、自分は自分の道、森は森の道を進む第一歩として部屋を別にしました」
中野も森と一緒に高校日本代表候補の強化合宿に参加したが、初日に「プロ志望」を明言した森とは違い、中野はプロ志望であることを明言はしなかった。
「自分自身、迷ってはいないんですけど、最後は自分の結果(次第)やと思うんで、まずは夏の日本一を目標にやりながら、その後に進路の選択肢が出てくると思う」
ブランド健在も…なぜ苦戦気味?
1991年夏に初出場・初制覇を遂げ、2008年夏にも全国制覇を遂げた大阪桐蔭が、いよいよ黄金期を迎えたのは藤浪晋太郎や森友哉を擁し、春夏連覇を達成した2012年だろう。98年に就任した西谷監督は、日本一の回数を「9」にまで伸ばし、自身の通算勝利数も歴代最多となる70勝に達した。10年以上も高校野球界でトップの座に君臨し続けた学校は100年を超える歴史で一例もない。