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大阪桐蔭“あの189cmスーパー1年生”は今「細かった身体が…激変していた」西谷浩一監督と話し合った進路…森陽樹17歳、異例の“プロ志望”明言ウラ側
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柳川悠二Yuji Yanagawa
photograph byYuji Yanagawa
posted2025/04/19 11:04

大阪桐蔭のエース、森陽樹17歳
2022年の松尾汐恩(現・横浜DeNA)や2023年の前田悠伍(現・福岡ソフトバンク)のように、高校からドラフト1位でプロ入りすることが確実視されていた選手でさえも、最後の夏を控えた段階ではなんとなくぼやかしながら未来への青写真を言葉にしたものだ。大阪桐蔭ではこの時期、西谷浩一監督と進路について話し合う面談が実施される。森が続ける。
「西谷先生に『プロに行きたい』と伝えると、『自分で掴み取るしかないから、もっとやれ』みたいな感じで言われました」
センバツ逃して…大阪桐蔭の今
全国屈指の激戦区である大阪ではライバルである履正社に加え、大阪学院大高校もスカウティングに力を入れて大阪2強に肉薄する。今春のセンバツ出場を逃した名門の「1」を背負うからには、2季連続で甲子園切符を逃すわけにはいかない——そんな森の覚悟が、早々の「プロ志望」明言に込められているような気がしてならない。
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2007年生まれが中心となる今年の3年生世代にあって、森は誰よりも早く注目を集めた投手だった。入学時より身長が伸びていよいよ190cmに達した1年秋、大阪大会、近畿大会とセンバツ切符の懸かる重要な試合で起用され、150キロに迫る直球を武器として期待に応えていく。変化球もスライダー、スプリットに加え、落差の大きいパワーカーブも森の武器だった。
ちょうどその時期、2年先輩の前田悠伍がドラフトで1位指名された。前田と入れ替わるように出現した長身の豪腕には前田と同じ道を歩む期待を抱いてしまう。ドラフト指名が確実視されるようなルーキーが登場した際に、西谷監督は度々、「大きく育てたい」と口にする。森に対しては「大きく大きく育てたい」とわざわざ強調するほどだった。
しかし、昨春と昨夏の甲子園では1年時に残したインパクト以上の足跡は聖地で残せず、昨年10月の近畿大会では初戦の滋賀学園戦に先発するも、珍しく制球を乱す場面が目立ち、2対3で敗れてしまう。
結果、大阪桐蔭は6年ぶりにセンバツ出場を逃した。