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「競走部同期はコンサルに内定しました」“私大最難関”早大政経学部で箱根駅伝を3回走ったランナー「就活か、陸上か…迷いました」卒業後の進路は?
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生島淳Jun Ikushima
photograph byJIJI PRESS
posted2025/04/04 11:08

2024年1月、伊福陽太(当時3年)は自身2度目の箱根駅伝を走る
「振り返ってみると、ものすごく『運』に恵まれている競技生活を過ごせています。中学校の顧問の先生がもともと洛南の出身で、中学2年から洛南の練習にも参加させてもらって、進路が決まりました。洛南でも強くしてもらい、先輩の諸冨さんが早稲田に進んだことが大学進学にあたっては大きかったですし、大学での4年間も山あり谷ありでしたけど、他の大学で競技をしても、こういう結果は得られなかったと思います。相楽さん、花田さんと出会ったのも大きかったですし、同級生にも恵まれました。大志はオープンな性格でみんなを巻き込んでいくのが上手かったですし、石塚、菅野は教育学部で本キャンに通っていたので、キツいのは自分だけじゃないとも思えましたから」
私もまさか、受講生の競技生活についての原稿を書くことになるとは思わなかった。
「たまたま金曜2限にスポーツジャーナリズム論があって、うまく時間割にハマったから取ったんです。それ以上の理由はなかったです(笑)。でも、この授業を通して他学部や、他の学年の学生と交流が始まって、今でもつながりが出来ているのはうれしいです」
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箱根駅伝、大阪マラソンには同じ授業を取っていた学生が、応援に向かっていた。
4月からは住友電工で競技を続ける。監督は競走部の先輩でもある渡辺康幸だ。
「このところ、マラソンで日本代表になった選手たちを見ていくと、パリ・オリンピックの代表は赤﨑さん(暁・拓殖大→九電工)、小山さん(直城・東京農業大→Honda)、今度の世界陸上は吉田祐也さん(青山学院大→GMOインターネットグループ)、近藤亮太さん(順天堂大→三菱重工)と、大学時代に際立った成績をあげていたわけではなく、卒業してから力を伸ばしている人たちが多いんです。自分も、上を目指していきたいと思います」
自分の可能性を信じて、また走り出す。
「昔は、42kmなんて長い距離、誰が走るの?』と思ってましたけど、自分が取り組むようになるなんて(笑)」
2025年、伊福陽太の新しい春が始まる。
がんばれ。
