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「超攻撃的。モリヤスを批判できようか、いや…」トルシエが森保ジャパンに太鼓判「クボがゴールした瞬間、監督と選手の関係は良好だと」
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田村修一Shuichi Tamura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/03/24 18:20

バーレーン戦後、選手から祝福のウォーターシャワーを浴びた森保一監督。日本代表は好循環の中にあるとトルシエも見ている
「私からすれば久保こそが今日のベストプレイヤーだ。運動量は申し分なく次々とポジションを変えてピッチ上を動き回った。日本がコレクティブな面で不十分だったものを彼が個人で補った。
コレクティブなパフォーマンスで相手ディフェンスをコントロールすることができなかった日本は、選手個々の力に頼らざるを得ず、三笘薫も堂安律もその点で十分ではなかった。彼等に代わり久保がプラスをもたらし、後半に入っての田中と鎌田の投入も、ゴール前への侵入を容易にした。1点目の久保の鎌田へのアシストは素晴らしく、2点目は久保の見事な個人技だった。
日本にとってはとても重要な試合で、素晴らしい試合とは言い難かったが、2026年W杯予選を突破した世界で最初の国になったことに大きな意味がある。次のサウジアラビア戦に向けても、選手たちはプレッシャーから解放された」
前半の苦戦は“日本の戦術”だったのかも
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――前半、日本が苦戦したのは、バーレーンがこの試合に向けて時間をかけて準備し……。
「それもあるが、日本のプレーはスピードを欠いていた。常にロングパスを狙って、いつものコンビネーション――特にサイドでの――を発揮できなかった。狭いスペースでコンビネーションを仕掛けるときの日本はとても危険だ。そこからゴールチャンスを作り出す。しかし今日の日本はストレートなプレーが多く、上田綺世や南野拓実に直接長いボールを供給して走らせようとした。守る側はプレーを読みやすく、ボールの回収は難しくはなかった。
しかしそれは日本の戦術であったかもしれない。森保(一監督)はロングボールを選手たちに求めた。普段の日本はこんな風にプレーはしない。そこにこの試合の難しさがあり、バーレーンのディフェンスをコントロールできない中で、久保だけが個の力で違いを作り出した。
とはいえ日本はとても攻撃的だった。守備的なオプションを採用しなかった森保を批判できようか? いや、できない。田中や鎌田、伊東純也(63分)、中村敬斗(76分)ら後半に攻撃の選手を次々と投入したことが、彼の攻撃への意志を示していた」
――日本は本大会出場に値すると思いますか。
「もちろんだ。日本の一番の勝利は、1998年以来W杯本大会に連続出場を続けていることだ。今回の予選はとても順調だった。3試合を残して出場を決めたのだから。結果についても自信という点でも日本は上昇曲線にある。アジアの中での日本の立ち位置を考慮すれば、突破は極めて順当であるといえる」
クボのゴール後…モリヤスと選手が良好だと
――ディディエ・デシャン(2012年7月からフランス代表を指揮)ほどの長期ではありませんが、森保監督もW杯をまたいで日本代表を率い続けています。それも日本のアドバンテージでしょうか。