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《34歳電撃引退の真相》「高齢の両親、家族と過ごしたくて…」「FC東京だけでなくセレッソの心遣いも」J1通算74得点の名ブラジル人FWが激白
posted2025/03/03 18:36

現役ラストゲーム後、家族とともに写真に納まるディエゴ・オリヴェイラ。34歳電撃引退の真相をブラジルで聞いた
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沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
J.LEAGUE
これまでブラジルで多くのフットボーラーを取材してきたが、これほど引退して間がない選手に話を聞いたのは初めてだ。
ディエゴ・オリヴェイラ、34歳。昨年末でFC東京を退団し、同時に16年間の現役生活に終止符を打った。キャリアの半分以上に相当する9年間、日本でプレー。2016、17年に柏レイソルで57試合出場17得点、18年から24年までFC東京に所属して223試合出場74得点。これはFC東京のJ1歴代通算最多得点である。
現在は、出身地であるブラジル南部クリチーバに住む。ただ、日本での生活が長かったため自分の家は建設中だそうで、両親にプレゼントした瀟洒な邸宅に仮住まい。玄関まで出て来て、精悍な笑顔で迎えてくれた。
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身長179cmはセンターフォワードとして、とりたてて大柄ではないが体に厚みがあり、逞しい。まずは34歳にして引退を決断した真相を聞いた。
高齢の両親や家族と一緒に過ごしたいと
――いきなりお聞きするのですが、日本のフットボール関係者やファンの中には「唐突な退団、電撃引退」と感じたり「まだまだプレーできるのにもったいない」と考えた人が多かったようです。
「大きな故障や持病があるわけじゃないから、身体面だけを考えたら、もう少しプレーできたかもしれない。でも、子供の頃から20年以上、フットボール中心の生活を送ってきた。しかも、キャリアの大部分を外国のクラブでプレーした。両親が高齢になったこともあり、もっと両親、家族と一緒に時間を過ごしたい、と考えた」
――なるほど、そういう理由なのですね。
「昨年後半に引退の意思をFC東京へ伝え、強く慰留してもらった。また、多くのファンからも惜しむ声をいただいた。僕のプレーを高く評価してくれたからこそであり、とても感謝している」
現役最後の試合…胸がいっぱいに
――2024年12月8日、味の素スタジアムで行なわれたセレッソ大阪とのJ1最終節が、あなたのFC東京での最後の試合となりました。試合前、一人でピッチに出て、下を向いて何かを考えている様子でした。あのときは、何が脳裏をよぎったのですか?