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「落合博満を引退させた」と言われて…死球は“わざと”だったのか? 本人明かす真相…8年後、その落合が中日監督就任「トレード通告いつ来るかな」 

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岡野誠

岡野誠Makoto Okano

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posted2025/01/30 11:03

「落合博満を引退させた」と言われて…死球は“わざと”だったのか? 本人明かす真相…8年後、その落合が中日監督就任「トレード通告いつ来るかな」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

落合博満の中日監督時代にプレーした野口茂樹

「呼ばれてないですから。まあ、全員が参加するわけじゃないですしね」

 ナゴヤドームで優勝を決めた10月1日、野口はチームメイトと場内を一周し、集合写真にも収まっている。ビールかけはその後、球場内の駐車場で行われた。通常であれば、そのまま会場に移動するはずだ。チームに貢献できなかった左腕は、罪悪感と疎外感を覚え、その場を立ち去ったのだろうか。

 それも無理はない。前年までの主戦級投手は日本シリーズの登録40人枠にも入れず、オフにはトレード候補として新聞紙上を賑わせた。巨人で宙に浮いていた清原和博との交換も浮上。結局は残留となったが、「生え抜きのMVP投手」の扱いはあまりに軽かった。

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「まあ、そんなもんじゃないですか(笑)。トレード通告がいつ来るかなと考えてた時期もありました。そういう雰囲気になってましたからね」

落合の苦言「もう先発はない」

 翌年は開幕二軍。交流戦で楽天を完封、オリックスを8回0封と意地を見せるが、その後はほとんど結果を残せなかった。9月4日のヤクルト戦、3回途中でKOされると、落合監督は〈野口? もう先発はない。今のところな。(出場選手登録)抹消だよ。自分の中に、恐怖心がある選手は使わない〉(※6)と苦言を呈した。このコメントをどんな気持ちで聞いていたのか。

「負けたら、何を言われても仕方ない。ああだ、こうだと思うことはないですよ。単に文字で見るか、見ないかというだけでね。だいたい、自分でもわかってますから」

 星野監督もコメントで奮起を促すことはあった。2人にはどんな違いがあったのか。

「星野さんは不甲斐ないピッチングをしたら、試合中から怒り狂ってますからね(笑)。名前を言わなくても、誰のことか明白ですよね。そういう意味では、わかりやすかったですよ。落合さんに直接、言われたことはありません。何を考えているのか掴めなかった。でも、監督が何を言っていたという些細な情報も流れてこないから、強かったんだと思います」

 落合監督は口数が少ないため、誤解を招く傾向を持つ。就任前に著書で故意死球疑惑を投げかけられた野口は不調も相まって、指揮官との気持ちの隔たりが大きくなって行ったようにも感じる。

「もしもし、巨人軍の原辰徳です」

 中日に居場所がないと実感していた男がFA宣言をすると、1本の電話が鳴った。

「もしもし、巨人軍の原辰徳です」

 野口は原とも現役時代に浅からぬ縁があった。

〈つづく〉

#3に続く
「すみません、阪神には行けません」星野仙一に断りの電話、その返事は? 原辰徳に誘われて巨人入り、メジャー球団の契約破棄も…中日“あの1億円エース”の今

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