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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「毎年、クマとの闘いです」箱根駅伝10区〈踏切で足止め〉悲運のランナーは今→秋田で消防士に「何があるか分からない」震災、クマ出没…故郷を守る日々
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byHaruka Sato
posted2025/01/06 11:04
現在は秋田県鹿角市で消防司令補として故郷を守る田子康晴さん
「まずはホースを持っていって2日間にわたって鎮火にあたりました。その後は行方不明者の捜索。瓦礫の下に埋まっている方、流されている方を集中的に探すという捜索活動でした。発生直後だったので、生存者の救出はできなかったんですけれど……。交代まで4日間、やはり今も忘れられないです」
忘れられない箱根路の大歓声
就職後10年ほどは消防署の駅伝部に所属し、全国の消防本部が集まって行われる「全国消防駅伝」に出場していたという田子さん。何回か区間賞を獲得したが、現在は「ほぼ走ってない。ジョギング程度ですね」と言う。
「箱根駅伝はテレビで見ていますよ。子供たちを一回は連れて行きたいな、って妻とは話しています。休みが合えばね。今はあの頃より沿道の人も多いんでしょうね。当時も凄かったです。走っていると片側の耳だけ聞こえなくなるんです。(観客がいる側から)ずっと応援されているからでしょうね。走り終わった後は、片方だけ耳に蓋をしているような感じでしたよ」
「何があるか分からない」
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2年生で急遽出場した8区での大ブレーキ。踏切につかまり、歴史に残るアクシデントの主役となった10区。キャプテンとして9人抜きの快走を見せながら、わずか「1秒差」で逃した区間賞……。悔しさを味わった箱根路はそれでも、大きな宝物を残してくれた。
「何があるか分からないですよね。それはもう、つくづく感じました。そういう経験が今の仕事に活かされている部分はあります。“段取り8割”じゃないですけど、何が起こっても対応できるように、きちんと心の準備をしてのぞむことが大事なんだな、と。あれから20年も経っているのに、未だにこんな話をさせてもらっていますからね。そう思うと、貴重な経験をさせてもらったなと思います」(前編からつづく)
〈→前編では、箱根路踏切アクシデントの舞台裏を追った〉