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マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
ソフトバンク甲斐拓也が巨人移籍…ベテラン記者が考えた日本野球“有力捕手少なすぎ”問題 敏腕スカウトも「捕手からこの国の野球が壊れてくる」
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byBUNGEISHUNJU
posted2024/12/26 11:10
ソフトバンク・甲斐拓也による巨人への「正捕手の移籍」というレアケースで見えてきた“有力捕手少なすぎ問題”とは?
一番そういう要素を持っていてほしい「捕手」が、残念ながら、一番「ボケ~ッとしている」という。
「社会人の場合、キャッチャーはほとんどが大学から。でもその大学でほとんど教わってない。技術とか配球とか、そこまでじゃないにしても心構えぐらいは教えてくれるといいんだけど。みんな、ちょっと打てて、(二塁送球)1.8秒とかね……それだけあれば、あとのことは社会人で教えてもらえると思っている。だから、試合で使っても何も反応もない。
『自分はこう思うんですけど、今日の自分、どうだったですか?』ぐらいのことは問いかけてほしい。キャッチャーは、まず気づきですから。気づきがないと、ブルペンでもピッチャーに信頼されない。まず自分が気づいて、自分で自分を高めていく意識ですね」
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身に覚えのある者には耳の痛い話だろうが、もっともな話ばかりであろう。
プロのレギュラー捕手は「ドラフト上位」が多い?
以前、あるベテランスカウトの方が、こんな心配をしていたことがある。
「調べてみればわかると思うけど、今のプロでレギュラーキャッチャーをやっている選手って、ほとんどがドラフト上位(3位以上)指名なんですよ」
調べてみれば阪神・坂本誠志郎(15年2位)、広島・会沢翼(06年3位)、巨人・岸田行倫(17年2位)、ヤクルト・中村悠平(08年3位)、オリックス・森友哉(13年1位)、若月健矢(13年3位)、ロッテ・佐藤都志也(19年2位)、西武・古賀悠斗(21年3位)、楽天・太田光(18年2位)。
なるほど、ほとんどのレギュラーキャッチャーを上位指名者が占める。
「指名されるキャッチャーが少ないっていうのも心配ですが、それ以上に上位で指名したくなるような魅力と実力を持ったキャッチャーが出てこないほうがもっと気になる。指名された5人の捕手の内、2人は独立リーグ出身(埼玉武蔵・町田隼乙、四国愛媛・矢野泰二郎)でしょ。いまは心身の逞しさなら独立リーグですよ。キャッチャーのボーダーラインはすごく高くなっているはずで、ちょっとやそっとのキャッチャー獲ったって戦力にならないって現実はありますね」