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プロ野球PRESSBACK NUMBER
日本一の瞬間「亡くなった女房が降りてきて…」DeNA初代監督・中畑清が日本シリーズ解説で涙したわけ「こんな景色が見られるときが来たんだと」
posted2024/12/11 11:00
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Keiji Ishikawa
ベイスターズが“史上最大の下剋上”を果たした日本シリーズ第6戦、中継放送席にいたDeNA初代監督・中畑清。勝利を目前にした9回に、明らかに涙声になる様子が話題になった。著書の『ベイスターズ再建録』でも中畑のロングインタビューを行ったライター・二宮氏が、あの涙の真意を直撃したNumberWebインタビュー。〈全2回の前編/後編はこちら〉
キヨシはこの夜、言葉を詰まらせていた。
横浜DeNAベイスターズが26年ぶりの日本一に王手を掛けて臨んだ、福岡ソフトバンクホークスとの日本シリーズ第6戦。11-2のまま9回表に突入し、3万3000人を超える大観衆をのみこんだハマスタに待ちに待った歓喜の瞬間が訪れようとしていた。
テレビ中継の解説席で、ちょっとした異変が起こっていた。それまで“絶口調”だったはずのDeNA初代監督である中畑清がまったく喋らなくなっていたからだ。
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守護神の森原康平が柳田悠岐を三振に仕留めてゲームセット。ベンチでは三浦大輔監督がガッツポーズを繰り出し、グラウンドでは抱擁の輪が広がっていくなかでアナウンサーに促されるように中畑がやっとその口を開く。
「よくここまで成長してくれたなというのと、優勝してくれたというね、喜びですね。すごいチームになりましたね」
明らかな涙声。絞り出すように言葉を紡いだ。
あの瞬間、胸に迫った万感を、そしてチーム、選手への愛情とリスペクトが詰まっていた第6戦の解説をあらためて振り返ってもらうべく、中畑のもとを訪ねた。
あのとき泣いていた?
——9回表はまったく喋っていなかったですね(笑)。
中畑 (優勝が近づく)あの雰囲気があったから、自分が喋らなくても大丈夫だったでしょうよ(笑)。
——やっぱり泣いていたのですか?