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核心にシュートを!BACK NUMBER
「(三笘)薫に僕が合わせて」“でんぐり返し”も話題の日本代表DF…町田浩樹27歳が明かす“ピッチ内の関係”「律や滉くんとも話してます」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byJFA/AFLO
posted2024/11/13 17:00
10月サウジアラビア戦後の町田浩樹と三笘薫。ピッチ内での関係性を町田が明かしてくれた
「相手もスカウティングしてくるので、自分たちが狙っている守備を外された時に、次どのように相手(の攻撃)をもう1回“ハメに行くか”を整理する必要があります」
実はすでに考えて、行動し始めている。
例えば、9月のバーレーン戦。守備時に最終ラインに入る5選手のなかでもっとも身長が低いのは堂安だった。バーレーンはそこをめがけてロングボールを蹴ってきた。日本は後半開始時から堂安に代えて伊東純也を入れることで、これに対抗しようとした。その伊東が、後半開始早々に得点に絡んで試合の決着がついたため、この日は守備の問題が表面化することはなかった。
「律や(板倉)滉くんなどともすでに話していますよ。そもそも、ずっと左肩上がりで守備をやるのは律としてもキツイ(※低い位置で守備してから攻撃に出ていくケースが増えるため)でしょうし。逆に、右をもう少し高い位置に出してハメるのも1つの手段でしょうし、具体的な解決策までは話せないですけど……。ただ、チームとしてもう少しバランスを見つけるべきだなと考えています」
守備のバリエーションも、もっと増やさないと
実際、サウジアラビアも、日本対策の手は打ってきていた。中心選手サーレム・アル・ドサリの立ち位置である。
本来、アル・ドサリは中央に近いエリアでプレーすることが多い。しかし、この日は日本から見た右サイドに張らせてきたのだ。それに対しては、右シャドーの南野拓実と右ウイングバックの堂安が声をかけあい、粘り強く守備をしていた。一方で左を任された鎌田と三笘は高い位置からの守備を見せていた。それが理想だと南野も堂安もわかったうえで、あのような守備をしていた。そして、その我慢が後半の小川航基の追加点につながったのは確かだ。
とはいえ、“耐える”、“割り切った守備”以外の選択肢を増やす必要がある。
町田は言う。
「対戦するチームのレベルが上がれば、僕らの守備を崩す手段を知っている選手が増えてくるはずですよね。そのときのために、自分たちの守備のバリエーションをもっと、もっと、増やさなきゃいけないと思ってやっています」
そう語る町田の言葉は、日本の守備を支えるのだという責任感と自覚が醸し出す熱を帯びていた。
「いやぁ攻撃はそこまで…」と本人は語るが
ただ――。
町田の今回の最終予選でのパフォーマンスについて振り返るとき、本職の守備だけではなく、攻撃の健闘にも触れないわけにはいかない。
「いやぁ攻撃はそこまで……。守備の選手なので、守備についての方が考えているので」
6月のインタビューでそう語っていた町田の言葉は謙そんに近いものだったのではないか。
攻撃について考えていないかのようでいて、彼はしっかり考えている。町田の攻撃面での貢献について深くたずねていくと、彼の口から挙がったのは、プロを目指していた時期から憧れていた、“ある先輩”の存在だった。
内田篤人である。
〈つづく〉