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核心にシュートを!BACK NUMBER
「篤人さん、上手かったので」DF町田浩樹の“内田先輩と鹿島イズム”がアツい…日本代表をもっと強くするため「属人的にならない仕組みを」
posted2024/11/13 17:01
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Kiichi Matsumoto
篤人さん、出てるんだ!
6月のインタビュー時、町田浩樹は雑誌「Number」の長谷部誠引退記念特集号を編集者から受け取ると、こうつぶやいた。
「篤人さん、出てるんだ!」
この日の町田は、ヨーロッパカンファレンスリーグで長谷部のいたフランクフルトと対戦したときのことを嬉しそうに語っていた。それくらい、現代表コーチへのリスペクトは強い。それなのに、長谷部だけが写った表紙に小さく載っていた鹿島アントラーズ時代の先輩の名前を見逃さなかった。まるで、相手の守備網の間にわずかしか存在しないパスコースを見つける時のように――。
先月DAZNで公開された『内田篤人のFOOTBALL TIME』での対談で、以下のようなやり取りが話題になった。
内田「(パスを出す先を)見ないというのが大事だよな。ボール(だけ)を見て、『そこのパスコースには気づいていないんですよ、内田は』とか『町田は』みたいな感じでね」
町田「そうです、間接視野で……」
内田「そこが駆け引きで、面白いんだよな!」
最終予選の中国戦では町田の縦パスから、南野拓実の2ゴールが生まれている。そのなかで町田が見せたノールックパス。そのルーツはどこにあるのだろうか。
そういうパスを出すのが上手かったので、おそらく…
「(内田)篤人さんが、そういうパスを出すのが上手かったので。おそらく、それをよく見ていたからかもしれません」
そう答えた町田は、鹿島の下部組織時代の記憶をたぐり寄せながら、こう続けた。
「サイドでボールを持ったときなどに、手前にいるフォワードではなく、奥のフォワードまで見て、パスを出せる選手でしたから、篤人さんは。あるいは、相手の股が開くまで待ってからパスを出せる選手でもありましたよね。コーチから特別に『ああいうプレーを参考にしろ』と言われたわけではなく、僕が無意識のうちに、ああいうプレーを見て育ったのかもしれないですね」
現在の日本代表の話に戻ろう。
9月に対戦した2チームと、10月に対戦した2チームとではレベルが違った。10月に対戦した2チームは、日本の3バック対策を練ってきた。とりわけ、オーストラリアは、攻撃に出ていけないハンデと引き換えに守備を固め、埼玉スタジアムから勝ち点1を持ち帰っていった。