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2023年ドラフト“1年後検証”…「東都7人衆」“ドラ1投手大崩れ”の中で奮闘したのは? 目を引く西武の「大成功」《中日・日ハム・ヤクルト・西武編》
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byJIJI PRESS
posted2024/11/08 17:01
2023年ドラフトで評判の高かった「東都7人衆」に苦戦が多い中、西武1位の武内夏暉(國學院大)は10勝を挙げる活躍。新人王候補の筆頭に
二塁手・田中幹也(112試合、打率.224、守備率.991)、三塁手・福永裕基(111試合・打率.306)、遊撃手・村松開人(109試合・打率.275・守備率.988)。今季2年目の内野手トリオが定着した模様なのは、今年の中日の数少ない「朗報」だった。それだけに、昨年の2位・津田啓史遊撃手(三菱重工East)、3位・辻本倫太郎遊撃手(仙台大)の指名はなんだったのか?
昨年の今ごろ、かなり疑問視されていたテーマを蒸し返されかねない状況だが、もしこの2人の内野手加入が、プロで1年先輩の3人にとって、胸元に刃を突きつけられたような「刺激」になったとしたら。それはそれで、チームに貢献した1年目だったのかもしれない。
今年のドラフトで、1位・金丸夢斗(関西大)、2位・吉田聖弥(西濃運輸)、5位・高橋幸佑(北照高)の左腕3人に即戦力捕手という腰の据わった指名ができたのも、内野陣定着というチームの「落ち着き」のせいではないか。
今季は主にウエスタンの三塁手として起用された津田選手。大学時代の本職・遊撃より二塁手としておよそ2倍の守備機会(ウエスタン)を得た辻本選手。津田三塁手が守備率.919、辻本二塁手が.977。共に守備の精度という課題が見えた今季。内野手は、どのポジションも心身の消耗が激しいだけに、「有事」に備えて、実力に遜色ないアンダースタディが欠かせない。
守備力をアップさせて、いつなんどき声がかかっても、即、穴が埋められる存在にレベルアップさせておきたい。そこが、レギュラーへの突破口にもなろう。
来季以降の楽しみは「4位指名」の高卒左腕
昨年のドラフト直後、振り返り記事でも「どうして4位?」と首をかしげた4位・福田幸之介投手(履正社高)。やはり、1年目からはっきりと台頭の兆しを見せて、間違いなく中日の「2023」の評価を上げる要因となった。
シーズン前半を体力強化の時間に充てると、オールスター明けあたりからウエスタンの先発で登板。10試合に登板して、37イニングほど投げると、2勝3敗・防御率3.13。クロスファイヤーと右打者の外に沈むシンカー系を駆使して、被安打より多くの奪三振をマーク。
現状、先が最も明るいのは、この大型左腕なのかもしれない。
【総合評価 △】