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カープ新井監督が9月の歴史的急失速に決断…来季は「育てながら勝つ」から「痛みを伴っても育成重視」へ 

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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posted2024/11/04 06:00

カープ新井監督が9月の歴史的急失速に決断…来季は「育てながら勝つ」から「痛みを伴っても育成重視」へ<Number Web> photograph by JIJI PRESS

9月の月間20敗という失速をうけ、育成重視の決断を下した新井監督

 来季だけでなく、次世代の大砲育成も並行して進めていかなければいけない。高卒2年目の内田湘大と1年目の仲田侑仁の2選手は、ともにシーズン最終戦で一軍デビューを果たし、そろって初安打を記録した。仲田は高卒新人としては球団初となる4番起用と、首脳陣の期待も高い。まだ完成度は高くなく、基盤づくりを済ませてオフを迎えたいところ。二軍からの突き上げが一軍選手を刺激する。

 確固たる地力の確立が求められるのは、今春侍ジャパンに選出された田村俊介や21年に2桁本塁打を記録した林晃汰にも言える。自己最多70打席で打率.145に終わった8年目を迎える中村奨成もそうだ。さらに来春のキャンプには、ドラフト会議で即戦力候補として指名した佐々木泰と渡邉悠斗の2選手も加わる。指揮官に我慢してでも使い続けたいと思わせるためのアピール合戦の幕はすでに開いている。

変革のための決意

 シーズン最終戦のセレモニーで新井監督が口にした言葉が思い出される。

「来シーズンはさまざまなことが変化する年になると思います。来シーズンだけでなしに、変わっていかなければいけない、そう考えています。変わるということはそれとともに痛みも生じてくると思います。今年よりも来シーズンはさらに厳しい道のりになると思います。覚悟と信念を持って、強いチーム、強い選手を育てていきたいと思います」

 強くなるためにはチームが大きく変わらないといけない。ただ、人事権のない現場指揮官に大胆な“血の入れ替え”はできない。セレモニーでの言葉はこの秋から春のキャンプ、そして来季の戦い方についての言及だったのだろう。

 変革を促進するためには目先の結果に目をつむり、可能性を見込んだ選手を我慢して起用する必要もある。結果と育成の両輪で回してきた強化プランだが、今後は育成の比重が大きくなるに違いない。今年より勝てず、思い通りにいかない試合も増えるかもしれないが、どれほどの痛みが伴っても、新井監督はすべてを背負う覚悟を決めている。

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