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カープ新井監督が9月の歴史的急失速に決断…来季は「育てながら勝つ」から「痛みを伴っても育成重視」へ

posted2024/11/04 06:00

 
カープ新井監督が9月の歴史的急失速に決断…来季は「育てながら勝つ」から「痛みを伴っても育成重視」へ<Number Web> photograph by JIJI PRESS

9月の月間20敗という失速をうけ、育成重視の決断を下した新井監督

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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 毎年恒例の広島の秋季キャンプが11月4日から宮崎県日南市ではじまる。暖かい日差しが降り注ぐ気候と、グラウンドで汗を流す若手選手の姿──。例年とそれほど変わらぬ光景だが、いつも以上に熱を帯びる競争となることが期待される。

 9月の急失速で終えたシーズンで、戦力の底上げの必要性を痛感させられた。

 秋季キャンプでは早出練習から特守の割合を減らし、特打に重点を置く方針だ。秋季キャンプを前にマツダスタジアムで行われた秋季練習でも、スイング量は増していた。午前中は守備中心で、午後はグラウンドと屋内練習場の2カ所に分かれて打ち込み。最後は参加選手が並んで行うロングティーでしめくくられ、初日から練習時間は6時間を超えた。

 この秋は技術や身体だけでなく、頭も鍛える。

 長いシーズン、あるいは1試合の中でも、序盤、中盤、終盤など局面によって相手バッテリーの組み立ては変わる。そこの対応力が足りなかったため、経験の浅い選手たちは自分の打撃をさせてもらえない打席も目立った。二軍での思い切りの良さで昇格しながら、一軍では打撃の質が変わってしまう選手もいた。

 だからこそ、頭と心も磨かなければならない。秋季キャンプでは藤井彰人ヘッドコーチを中心に打撃コーチと選手が集まり、状況別のバッテリー心理や打席での考え方などの意見をかわす勉強会がもうけられる。11月5日に予定される侍ジャパンとの練習試合も、実戦だけでなく座学の貴重な教材となる。

伸び悩んだ中軸候補たち

 さまざまなアプローチで若手の成長を促していかなければならない。今年は矢野雅哉をはじめ、石原貴規や二俣翔一といった若手が台頭したものの、中軸を担える大砲候補たちは伸び悩んだ。

 新井貴浩監督は2022年オフの就任以来、若手の育成を待ちながら、現有戦力の最高値を模索して目の前の試合を戦ってきた。昨年は5年ぶりAクラスとなる2位に躍進。今年は9月初めまで首位を守った。だが一方で、143試合という長丁場のペナントレースを勝ち抜く力がなかったことを痛感させられた。計算していた経験者が振るわず、若手は空回りすることもあった。笛吹けども踊らず。

【次ページ】 カープの和製大砲候補

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