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カープ新井監督が9月の歴史的急失速に決断…来季は「育てながら勝つ」から「痛みを伴っても育成重視」へ
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byJIJI PRESS
posted2024/11/04 06:00
9月の月間20敗という失速をうけ、育成重視の決断を下した新井監督
得点数は日本シリーズを戦ったDeNAのリーグ最多522点を100点以上下回る415点に終わった。チーム本塁打52本、チーム打率.238、OPS.601、282四球すべてリーグワーストだ。本塁打数52は最多103本のヤクルトの約半分。四球数はリーグトップの阪神よりも159個も少ない。
球団が調査を続ける新外国人の獲得が問題を解消してくれるかもしれないが、計算は立てられない。仮に日本球界にフィットしても、中長期的なチームビジョンでみれば、外国人選手頼みは急場しのぎに過ぎない。やはり、和製大砲の育成は喫緊の課題となる。
カープの和製大砲候補
「セ・リーグの各球団には、近い年代で(岡本)和真だったり、牧(秀悟)、佐藤(輝明)、細川(成也)、村上(宗隆)だったりとホームランを一定数打てるバッターがいて、カープにはいない。そういう立ち位置、打線の軸となるホームランバッターになりたい」
危機感とともに決意を口にするのが、来季で4年目となる末包昇大だ。2023年に146打席で11本塁打を放ち、今年は左太もも裏を痛めて離脱するまで133打席で6本塁打。復帰した8月以降は負傷の影響もあり打撃を崩した。ポテンシャルはあっても、確固たる打撃の基礎を築けていない課題が露呈した。秋季練習から新井監督の直接指導を受けながら、軸足にしっかりと重心を残した下半身主導の打撃を徹底し、ブレない土台づくりに努める。
「シーズン途中はインコース攻めで、終盤は(インコースを)意識だけさせといてアウトコース勝負でやられた。80試合近く出させてもらいましたし、300打席以上もらったので、この経験をしっかりと来季につなげていきたい」
右打者が少ないチーム編成上、末包にかかる期待は高い。苦い経験も血肉としなければいけない。