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現地で聞いたブーイング…柔道・村尾三四郎の誤審疑惑「僕のポイントなかったですか?」永山竜樹の不可解判定との“決定的な差”「審判団は確認していた」
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byKYODO
posted2024/08/01 17:53
審判の判定直後、戸惑いの表情を見せた村尾三四郎だったが…
なかなか難しい物言いだが、垂直よりもうつ伏せになっていればノーポイント、あおむけになっていればポイントと考えることができる。
今回の村尾の場合は……審判の判断に間違いはなかったように思える。少なくとも、示されている基準との間に齟齬はなかった。
ついでに言うならば、残り2分でベカウリの外巻込を受けた場面もひやりとする場面だった。
ただし、<一度動きが止まってから押し込むような技はポイントにならない>というルールもある。主審はノーポイントと判断し、映像による確認も行われた。村尾の体が回ってはいるもののベカウリの投げが中断しているとみなされ、ポイントにはならなかった。
村尾が語った“敗因”
「金メダルだけを目指してたので本当に悔しい。自分にがっかりしてます」
5歳で柔道を始めた時からの夢だったオリンピック金メダルにあと一歩届かなかった。肩を落とした村尾は、残り1分の攻防についてこう振り返った。
「投げたという手応えはもちろんあったんですけど、あそこはもう余裕がないというか、ほんとギリギリのところでやっていて最後は少し投げ急いだ。勝ち急いだというのが敗因かなと思います。相手の土俵でやらずに、もう少し丁寧にやってもよかった。ただ、丁寧に戦うだけの余裕もなくなっていた」
しっかり二本組んで投げる正統派の村尾に対して密着パワータイプのベカウリ。離れたい村尾と近づきたいベカウリ、だったはずの構図が最後は崩れてしまっていた。
「できるだけ自分の間合いにするのが勝負の鍵だとは思っていた。その部分で僕が自分からその掟を破ってしまった。そこを徹底できなかったのが敗因かなと思います」
技ありを奪うまではそれがうまくできていたが、土壇場で接近戦から村尾の方が仕掛けている時点で最終的には相手のペースにはまっていたということだろう。
技ありを先行しながらの逆転負けは昨年の世界選手権での対戦と同じ展開。これでベカウリには4連敗となった。
「僕は金メダルを取らないといけないと思っているので、銀メダルでは終われない。4年後にこの借りを返したい」
世界のトップが集うオリンピックの舞台。その勝者と敗者をわけたものは、まぎれもなく力そのものだった。