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現地で聞いたブーイング…柔道・村尾三四郎の誤審疑惑「僕のポイントなかったですか?」永山竜樹の不可解判定との“決定的な差”「審判団は確認していた」
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byKYODO
posted2024/08/01 17:53
審判の判定直後、戸惑いの表情を見せた村尾三四郎だったが…
「あのポイントは、今回のオリンピックに関しては取ってないなという印象です。この大会の今日までの流れを見たら、ポイントはないというところで納得はしています」
2022年12月に改正された国際柔道連盟の試合審判規定には、技ありの基準の一つとしてこう書いてある。
〈「受」が同時に両手、両肘をついた場合、「取」に技有を与えると共に「受」にも指導を与える〉(和訳は全日本柔道連盟審判委員会)
鈴木監督が続ける。
「片手しかついてないのを映像で審判団がしっかり確認しています。主審の瞬時の判断ではできないことを映像で見ている。両手ついたらポイントなんですよね。ですけど、尻もちをついて片手のみなんですよ。尻もちをついて両手だったらポイントだった。ルール上はそう書いてありますので。非常に惜しかった」
実際に開始1分の谷落での村尾の技ありは、ベカウリが尻もちに近い状態で落ちているが、このときは両肘がついた。そのため、ポイントだけでなく指導も与えられている。
なぜ「最後のベカウリの技」は認められた?
もうひとつ村尾が言った「最後のベカウリの技」はどうか。
残り4秒、村尾が仕掛けた小外刈りに対し、ベカウリは右足を村尾の膝裏にひっかけるようにし、左足一本でぴょんっと体の向きを入れ替えてカウンターの小内刈りを放った。村尾の身体は横倒しに近い形で畳に落ちた。これに対して主審がビデオ判定のジェスチャー。しばらく確認作業が行われたのち、ベカウリの技あり、合わせ技での一本勝ちが宣告された。
技ありの判断基準も国際柔道連盟に規定がある。
〈技ありの基準は、肩の軸に対して体側上部が90度かそれ以上後ろ側に倒れている場合、もしくは片方の肩と背部上部が接地した場合とする。
体側上部は、肩のポジションのみをみること〉